福岡初中・オモニ会の朝鮮食材販売「ハートtoハート」
厳しい学校運営の実情知り、日本の教職員が協力
「真心の味で子供達の未来をバックアップ」――。学校の運営を少しでも手助けしようと、福岡朝鮮初中級学校オモニ会が日本の教職員を対象に行っている朝鮮食材販売「ハートtoハート」のキャッチフレーズだ。食材販売は以前、同胞学父母だけを対象に行ってきたが、2月からは福岡県教職員組合(福教組)福岡支部の協力を得て、日本の教職員にも販売網を拡大、「ハートtoハート」を出発させた。朝鮮学校の厳しい運営の状況に理解を示した日本の教職員の中には、口コミで購入者を増やすなど積極的に活動する人もおり、オモニたちの気持ちは確実に伝わっている。
食材は、キムチ、骨付きカルビ、味付けのりなど。そして販売は、2つの方法で行われている。1つは、各種行事の会場での直接販売。今年はすでに、福教組福岡支部の協力を得て、2月から7月までの間に計4回、同支部の定期大会や市教育研究集会、女性部定期大会などの会場で販売を行った。 教職員たちの評判は上々だった 2月からスタート、43校から注文 もう1つは、福岡支部を窓口にした注文販売である。現在、市内229の日本の小中学校分会から注文を受けている。7月14日の集計では39校、2月の集計では43校からの注文があった。 周知のように、朝鮮学校は日本の学校教育法の「1条校」の枠外にあり、「各種学校」扱いである。そのため、福岡県や福岡市が各種の名目で同校に支給している助成金は、日本の学校と比べると極端に少ない。 ちなみに県と市はそれぞれ独自に、国際交流に資するためという制限付きの「私立外国人学校教育振興費補助金」、「設備整備費」として200万円ずつ同校に支給している。 しかし、学校運営の厳しい状況が緩和される訳でもなく、当然のように学父母たちにそのしわ寄せがいく。 こうした、朝鮮学校の置かれた厳しい実情を知った日本の教職員らは、「朝鮮学校の子供たち、オモニたちのために何か出来ることはないか」とオモニ会に提案してきた。 「これまで、同胞学父母を対象に行ってきた冷麺やチャンジャの販売対象を日本人に拡大し、同時に品目を増やしたらどうかとの案が出され、朝鮮食材の販売を始めるに至った」(オモニ会の李等子会長、40) オモニ会ではさっそく、大阪の業者と契約を結び、キムチや骨付きカルビ、味付けのりなど21品の食材仕入れルートを確保し、チラシなども作った。また福教組福岡支部との協議も重ね、2月までに販売システムを確立した。 「ハートtoハート」の責任者、辛禎玉さん(41)は、「正直いって、決して価格は安くないが、日本の教職員たちは『価格ではない、心だ』と惜しみなく協力してくれている」と話す。 売り上げの利益金は、スポーツや芸術サークルの中央大会出場諸経費など、子供たちの課外活動に使われている。 食材のチラシ 厳しい環境にもかかわらず、1人でも多くの子供たちを朝鮮民族の一員として育てたいと思うオモニたちの心は、日本の教職員たちの心を動かし、そして確実に子供たちの心に伝わっている。 なお、朝鮮学校の処遇改善を求める運動の一環として、福岡民族教育拡大推進委員会は昨年、県知事(12月)と県議会議長(10月)にそれぞれ10万人の署名と要請書を提出し、朝鮮学校に対する私立学校並の補助金を実施することを強く求めた。 (羅基哲記者) |