読書

ポジャギ/金賢姫著

朝鮮のパッチワーク「チョガッポ」を紹介


李朝の特徴  美しい曲線

 東京・文京区白山にあるコリアブックセンターをのぞくと、「ポジャギ」(文化出版局刊行)と名付けられた美しい本が並べられている。

  朝鮮のパッチワーク(チョガッポ)の手法をカラーで濃やかに紹介した本である。チョガッポのやり方をこの本で見てみると――。

 使われる布は絹、麻、木綿、紙など。絹はオーガンジーのような薄絹、つむぎ風のちょっと厚地タイプ、ジャガード織り、絽(ろ)のようなタイプと様々。麻もシルクより高価といわれる、薄地で繊細な苧麻(ちょま)、庶民的な大麻など、こちらも風合い、色ともにバラエティーに富んでいる。木綿は庶民の作るもので、藍染めの作業着ら作ったと思われるものが多いようだ。

 チョガッポはチマ・チョゴリの裁ち端や古くなった服をほどいて、きれいな部分を再利用するという、他の民族のパッチワークの誕生と同じ背景があるが、「韓国」の場合にはもう一つの理由があったようだ。それは、儒教の国だからという、小布をつなぐという行為が長寿を願うという意味ともつながって、特にチョガッポが盛んになったと思われる。

  チョガッポにも1重仕立てとあわせの仕立てがある。アメリカンパッチワークの手法の中で、1重仕立てというのは、ほかに例を見ない縫い方。

 デザインは、特に決まった伝統的なパターンがあるわけではないが、李朝の工芸品に共通した美しい直線による構成が特徴。大小様々な大きさの布をつないだ、はぎ目の複雑なラインは凛(りん)として美しく、ステンドグラスのようでもあり、モンドリアンの絵画のようでもあり、これがほかのパッチワークにはない、チョガッポの魅力になっている。

(「韓国のパッチワーク ポジャギ」、文化出版局、03・3299・2542)

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