春・夏・秋・冬

 20世紀最後の先進国首脳会議、沖縄サミットが幕を閉じた。米軍基地問題を抱える沖縄での開催ということもあって、前宣伝は華々しかったが、終わってみると、イベントと日本のはしゃぎぶりだけが目について、肝心の中身は乏しかった。マスコミの報道を見る限りサミットは、もはやその役割を終えたと言える

▼そもそもサミットは、米、英、仏、伊、西独、日が、第4次中東戦争によって引き起こされた石油危機からの建て直しを話し合うため75年に開き、その後も南の開発途上国に対する 先進国 の協調態勢、東西冷戦における西側の結束のために毎年、開かれてきた。つまり、 先進国 が自分たちに都合のよい世界秩序を保つために談合していたのである

▼ところが、どうだろう。冷戦が終結して97年からは 仮想敵 のロシアが正式に参加しているし、南北経済格差の解消問題などは、今サミットでもまったく進展がなかった。それどころか、主要八ヵ国(G8)の思惑の違い、足並みの乱れを露呈してしまった

▼唯一超大国として21世紀も君臨しようとする米国と、その覇権を阻止しようとするロシアとの目に見えない綱引き、米国をけん制し始めたヨーロッパ各国のせめぎ合いが、言葉の羅列に終わった沖縄宣言に、各国首脳の熱意のなさに現れていた。だから新たな対立要因となるNMD(米本土ミサイル防衛構想)問題も、ふたをされたままだった

▼20世紀は戦争によって幕を開け、戦争で幕を閉じようとしている。だからこそ、20世紀最後のサミットに世界中が注目したのだが……。(元)

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