あす、KYN立ち上げ−朝青

カード発行、特典還元/IT駆使も視野に


個性結ぶち密なネットに

 在日本朝鮮青年同盟(朝青)は8月1日、在日同胞青年の生活サポートを通じ、21世紀に向けて力強い同胞社会を構築していこうとの目的から、「コリアン・ユースネットワーク」(KYN)を旗揚げする。

 事業の主な内容は、朝青員(原則として18〜28歳)にメンバーシップカードを発行し、在日同胞および日本の協賛企業・協賛店利用時に、優待割引などの特典を提供しようというもの。また、協賛企業との提携による各種イベントも開催していく。

 朝青中央のKYN事務局では、朝青員どうしのコミュニケーションや、各種特典の情報を介する媒体として、インターネット・ホームページを開設。朝鮮青年社が発行する月刊誌「セセデ」も、6月号からKYNマガジンとしてリニューアルされた。

 協賛企業(店)は目下、各地朝青の取り組みにより、飲食店や小売店、インターネット・プロバイダなど66社(店)を確保した。

 各地方の朝青は今後、それぞれ事務局を設置し、協賛企業募集のほかにも、地域の事情、特性を踏まえたイベント企画などを行っていく。

地域で実績

 朝青ではこれまでにも、一部の地方本部が独自に、メンバーシップカードの発行による特典還元の事業を行ってきた。

 とくに、朝青京都は昨年5月、留学同京都と共同で「K2」ネットワークを発足。これまでに、百九の企業・店舗から協賛を得た。今回のKYN発足に際しては、K2協賛企業すべてに、全国区への対応を打診。現時点で3分の1がこれに応じている。

 こうしたネットワークが、企業に協賛を呼びかけるうえで武器にしているのは、在日同胞社会のスケールメリットだ。具体的には、会員となる同胞青年に協賛企業一覧が載った情報誌を配布して利用を促すことで、企業の側にも利益を還元する仕組みだ。

 KYNは、これを全国規模に広げることで、スケールメリットをより強力にPRする。

 ただ、KYNが対象とする在日同胞の青年層は実質、数万人規模。信販会社が数百万から数千万人の会員を持っているのと比べると、いかにも少ない。こうした問題をクリアするには、一般の企業などには築き得ない、緻密なネットワークを構築することが課題となる。

 そして、それを成し遂げるうえでカギとなるのは2点。まず情報技術(IT)の活用がそれだ。ITの活用は、適切な相手に、適切なサービスを、適切なタイミングで提供していくためには、欠かせない。企業の間では最近、蓄積した顧客データをコンピュータで分析し、販売促進などを効率よく行う「データベースマーケティング」という手法が盛んだ。

 KYN事務局では、こうした方面に明るい人材のサポートを受けつつ、インターネットのダイナミックな活用方法などを検討している。

 そしてもう2つ、より重要なカギとなるのが、ネットワーク内での人材の発掘・育成だ。実はこれは、KYNが同胞青年への生活サポートとともに、事業の柱と位置づけているものでもある。

 ネットワークが緻密なものになるためには、何より人と人との交わりが重要だ。KYN事務局では、「これまで朝青が築いた人的なつながりに基づき、多彩な個性、能力、志向を持った朝青員らを結び付けることで、彼らが相互に刺激しあい、成長する場を作っていきたい」としている。

 同胞社会ではこのところ、世代交代とともに起きた志向や価値観の多様化に対し、扱いにくさや当惑を覚える空気が強かった。21世紀はじめの同胞社会を担う朝青が、KYNを通して、同胞青年の多様化した個性と志向をネットワークの強みに変えられるかどうか、注目されるところだ。(金賢記者)

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