春・夏・秋・冬

 沖縄を基点にして中国、朝鮮半島など各地域との文化・学術、貿易交流を活発化させ、それを通じて築き上げられた信頼のもとにアジアの平和を定着させたい、との構想半ばにして知事の座を退いた大田昌秀氏。その思いから、沖縄サミットを誘致した

▼まずは、米軍基地の中にある沖縄の現状を知り、平和について考えてもらいたい、というのが目的だったが、果たされなかった

▼沖縄から北京、平壌、ソウル、東京はほぼ等距離円の中に入る。米国が基地を築き、「戦争殴り込み部隊」の役割を果たす海兵隊を駐留し続け、今も手放さないのはこの地理的な理由が大きいという。そして、その兵力の矛先は朝鮮に向いている

▼南北共同宣言の実践と共に、朝鮮半島の緊張状態は着実に改善されつつある。しかし、不安材料がないわけではない。その筆頭が核装備した沖縄の米軍である。朝鮮半島の緊張状況が改善されるに伴い、当然のことながら沖縄米軍の脅威の削減論議もされなければならないが、それは今のところまったくない

▼朝日新聞によると、「2000年度防衛白書」は、朝鮮に加え中国の軍事力分析にも重点を置き、「日本をめぐる安全保障環境が不透明なことに変わりない」と強調したのが特徴だという。「南北首脳会談の実現を契機に、北朝鮮の脅威が薄れる可能性があり、防衛力整備のよりどころを北朝鮮だけでは説明しにくくなりかねないという事情」が反映されているとも

▼軍事力整備の口実のための「敵」作り。日本に対する警戒心が消えない理由がここにある。(彦)

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