山で元気
富士山
見る山より登った山
富士山は見る山で登る山ではないと言われるが、されど一度はぜひ登ってみたい山である。
東京・中央江東メアリ登山会主催の富士登山に同行した。メアリ登山会は昨年1月に結成された女性中心の登山会だったが、数回の山行を重ねて男性の参加も多くなり、今回27人が参加した。 新宿から富士急高速バスで中央高速道路を走って、富士スバルライン経由で富士山5合目へ。 出発に先立ち、下山後の集合場所と時間を確認し会い、黄色いバンダナを着けて、前中後の3組に分かれて出発した。 客待ちの馬や馬車が並ぶゲートから平坦な道を進み、ダケカンバなどの樹木に囲まれた林道が終わると、砂礫(されき)の道を行く。金剛杖を手にした登山者の果てしなく続く長い列に混じって、しっかり整備された砂混じりの石段の道をジグザグに登っていく。 7合目(2700メートル)地点の日の出館に着いて仮眠休憩をとり、夜間登山に備えた。小屋の前からは星空の下、河口湖から山中湖にかけて美しい夜景が広がる。 0時前、小屋を出て3時間後、8合目(3200メートル)の白雲荘前に着いたが、強風に阻まれ、前に進めない。気温11度、凍えるような寒さに震えながら、風の治るのを待った。 4時40分、真っ赤な太陽が昇り始めた。先頭の元気組は山頂を目指して出発。風はまだ強い。疲労、呼吸困難、めまいなど高山病症状を訴える人も出てきた。 あと500メートル余り、3時間の山頂を目前にして、ゴールを断念して下山した。安全第一の勇気ある決断だった。 見る山より登った山の方がはるかに価値があり、貴重な教訓と素晴らしい思い出を残してくれるに違いない。(在日本朝鮮人登山協会副会長李福権) 【山行アドバイス】山小屋宿泊は8合目以上高い程よいが早い予約が必要。 |