私の会った人
陸培春さん
日本に住んですでに30年近い。東京外国語大学留学中にシンガポール紙の特派員になり、今はクアラルンプールでジャーナリスト生活を送る。
「日本という国は、半世紀近く前に侵略戦争を起こし、2000万の隣人を殺してしまった国なのに、それをもう忘れてしまっている。それどころか戦争の加害責任も果たさず、『国際貢献』という美名のもとに自衛隊を海外に出兵させた。そのやり方は羊の皮をかぶっている狼のようです」 第2次世界大戦中、マレー半島を占領した日本軍に連行された祖父は、それっきり帰ってこなかった。「日本軍が私たちの肉親や同胞を皆殺しにした事実や日本帝国主義が犯した罪については、絶対に許すことはできない」とキッパリ。 父は1930年代頃、中国の内戦と貧困でマレーシアに。自身はクアラルンプール生まれの2世で、言葉も北京語、広東語、客家語、英語、マレー語、日本語を自由に話す。15人の兄弟は、中国、日本、マレーシア、シンガポール、香港、イギリスに暮らす「地球人家族」。そんな環境の中で育ったせいか、日本の、自分と違うものを拒み、外国人、とくにアジア人に対し同化を強いる姿勢を憤る。 「例えば、いまだに民族教育を認めず、朝鮮学校を正式な学校として遇さない。これは戦前、朝鮮を支配して言葉や文化を奪い、学校で日本語教育を強制して、朝鮮の歴史を抹殺したことと同様の、民族の尊厳を蹂りんする行為だ」と断じる。(粉) |