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第1回南北閣僚級会談を読む

宣言履行に最大使命


早い会談サイクルに明るい展望

 先月29日から31日までソウルで開かれた第1回南北閣僚級会談は、南北共同宣言が発表されて初めて開かれる当局者会談ということで内外の注目を集めていた。結果は、2泊3日という短期間にもかかわらず、総聯の同胞の故郷訪問団を構成する問題など、6項目で合意に達するという成果を収めた。同時に今会談は、共同宣言履行に対する双方の意志を改めて確認するとともに、南北が和解、統一に向けて着実に前進しつつあることを証明したと言えよう。

故郷訪問 北側が提案

 在日同胞にとって、今回の会談で特筆されるのは、総聯の同胞の故郷訪問団問題が話し合われ、合意に達したことだろう。これは在日同胞も、名実ともに祖国統一運動の一員、主人公であることを内外に示したという意味を持つ。

 日本の植民地支配のために日本に居住することになった在日同胞は、解放後も歴代独裁政権の反共、反北的政策・体制によって故郷を訪問することができなかった。

 75年から南朝鮮当局は、「朝鮮籍」所有者を対象にした「故国訪問団」制度を実施したが、訪問者に対して「韓国籍」への切替や総聯からの脱退を強要するなど、総聯を瓦解させる手段として使われてきた。

 また72年の7・4共同声明が発表された後に開かれた南北赤十字本会談に、総聯の役員が代表として参加したこともあったが、総聯同胞の故郷訪問問題が、正式な議題として取り上げられることはなかった。

 それが今回、南北共同宣言を履行するための、初めての閣僚級会談で取り上げられたのだ。その意義は、在日朝鮮人運動にとって画期的と言える。

 北側団長の全今鎮内閣責任参事は、その経緯について本社記者とのインタビューで、金正日総書記の指示によるものであることを明らかにしているが、在日同胞が統一運動の紛れもない主人公であることを内外に向けて示したのだ。

会談の性格で一致

 今回の会談で注目されるのは、閣僚級会談の性格、任務について双方が合意したことだ。

 共同報道文は、閣僚級会談の運営、性格と使命について、共同宣言の精神に沿って@その履行問題を協議解決しA信義と協力をもって容易な問題から解決しB実践を重視し、平和と統一を目指すと指摘しているが、これは、今後の南北当局間対話の方向、目標を定めるうえで極めて大きな意義を持つ。

 残念ながらこれまでの当局間会談は、政治的道具に利用される場合が、しばしばあった。とくに南側の前任者たちは、政権基盤安定のために南北対話を利用したという経緯がある。そうした政治利用を今後止め、共同宣言でうたわれた南北共同の利益、平和と統一のための対話を行おうというわけだ。

 しかも実践を尊重して容易なことから解決すると明らかにしたことは、プロパガンダ的に実践が困難な問題を持ち出して、対話がこう着状態に陥らないようにするという意味もある。

 ちなみに、閣僚級会談の性格と使命は、全今鎮団長が基本発言のなかで提案し、南側が受け入れたものだ。

挙族的な統一行事

 また今会談で双方は、8・15に際して板門店連絡事務所を再開し、南北海外で、それぞれ共同宣言を支持する統一行事を催し、今月29日から平壌で第2回閣僚級会談を開催することで合意した。

 連絡事務所の再開は、双方が常に設置されている対話の窓口を持つことを意味し、統一行事の開催は、全民族的な統一運動の高まりをもたらすうえで、大きな意義を持ち、今月末の第2回会談開催は、対話が速いテンポで行われるという明るい展望を抱かせる。

京義線連結で協議

 共同報道文では、第五項でソウルと新義州を結ぶ鉄道(京義線)の連結問題について早期に協議する、とうたわれている。

 45年9月に運航が中断された京義線は現在、20キロが切断されている。南側の試算では、復旧費用は500億ウォンから2000億ウォンで、今秋にも着工可能という。

 ただ、復旧費用をいかに捻出するか、連結した鉄道で何を運ぶのかなどの問題がある。

 南側の一部では、外国資本を導入すべきという意見もあり、もう一方では、連結すれば朝鮮半島の大動脈にもなる京義線を外国の手に委ねるのはいかがなものか、という意見もある。また鉄道を連結しても、人が往来するにしても、貨物を輸送するにしても、それに先だった制度の設備が必要で、そういう意味でも広範囲にわたった詳細な協議が行わなければならないだろう。

信頼の積み重ねを

 京義線の連結と並んで、南側は軍事ホットラインの設置を求めていたが、今回の会談では合意に至らなかった。

 その理由として考えられるのは@南の軍事統帥権を持っているのが米国であることA南の軍が、北を「主敵」とする概念を変えていないことB南の軍部が共同宣言に対する明確な支持を打ち出していないことなど。

 金正日総書記が催した金大中大統領歓送午餐会で、北の趙明禄国防委第1副委員長は、共同宣言に対する全面支持を表明した。これに対して南朝鮮軍は、「北傀」(北のかいらい)という表現を改めはしたものの、北を「主敵」概念からはずすのは、時期尚早との立場を取っている。

 こうした現状のなかで、軍事ホットライン設置問題を話し合うのは、かつての対話と同じ結果を生む恐れがあるのではないだろうか。つまり、南北で協議する前に、互いになすべきがあるということだ。そして信頼を積み重ね、環境が整ったときに、双方が誠意を持って合意するというのが、まさに共同報道文でうたわれた閣僚級会談の使命なのだ。
(元英哲記者)

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