新次元の南北文化交流

統一文化の創出を

共同制作、調査・研究の動き


 南北首脳会談後に開かれた初の閣僚級会談で、双方は共同宣言を誠実に履行するために、これから対話を継続的に行っていくことで合意した。文化の様々な分野で今後、共同製作・研究、相互訪問・公演などが増えることは確実だ。「南北関係が足踏みしている状態の時でも、統一バスケット、統一音楽会などのような文化・スポーツ交流は 和解の伝令使的 な役割」(中央日報・6月22日付)を果たしてきた。「統一した民族文化の創出」(統一文化学会の文・ホグン顧問)のために、文化交流は欠かすことのできない分野だ。南での最近の動きと、これまでの交流の歩みをまとめてみた。

物品展示会、文学作品など
多様な媒体を活用

 北の特撮怪獣映画「プルガサリ」の南での一般上映が去る6月22日から、各地数十ヵ所で始まった。南の映像物等級委員会が6月、輸入を正式に認めたことを受けての上映で、南での北の映画が一般興行目的で上映されたのは初めて。南北共同宣言を文化分野で実践した第1段と言える。

 また、文化日報の報道(6月24日)によると、北の映画輸出入関連会社と中国・延辺州のテレビ局が中心となって、南北合作映画の製作が進められつつあるという。候補として上がっているのは、朝鮮人として、戦後の日本でプロレスブームを巻き起こした「力道山」の一代記。
 この件に関して最近、北を訪問し、関係者と事業方向を論議した延辺州のテレビ局の責任者によれば、北はすでに製作の準備作業に入っているという。


 民間の輸出入業界も積極的に動きはじめている。今年5月、平壌サーカス団のソウル公演推進委員長をつとめた「NS21エンタープライズ」代表・金ボエさんは、「洪吉童」「花を売る乙女」「帰らざる密使」「林巨正」などのビデオの輸入と劇場上映の準備に取り掛かっているという。

 昨年12月、北の烽火芸術劇場で、南北の歌手たちが2回にわたって和音を共にし、今年5月には平壌学生少年芸術団のメンバーらがソウルで公演し、喝采を浴びた。

 また、8月15日ごろにソウルで、北の国立交響楽団と南のKBS交響楽団による合同公演が予定されている(朝日新聞7月26日付)ともいう。

 今、南では北の音楽に接した市民たちの間で、北の音楽がちょっとしたブームになっている。「フィッパラ=口笛」「パンガミダ=お会いできて嬉しいです」などが流行し、レコードなども市販されている。南の歌手協会関係者は、北の歌謡などを南のレコードに収録できるよう北と交渉中だという。

 学術分野でも、文化遺産の共同調査・研究、共同シンポなどが構想されている。南の歴史研究会と国史編さん委員会などの歴史学団体は、民族の同質性の確認のため、平壌での初の統一歴史学大会開催を構想している。また、ソウル大学の総学生会も、北の渤海や高句麗遺跡を踏査し、金日成総合大学を訪問したいという意思を明らかにし、統一部に申請書を提出(6月19日)した。

 こうしたなか、南の教員団体総連合会と政治学会は7月5日、統一教育を理念と体制中心から、北の物品展示会、文学作品などの多様な媒体を活用する文化生活中心へと変えていくことが早急の課題だと指摘した。

 こうした世論に答える形で、当局はこれまで「反共」を全面に押し出していた教育を、児童、生徒が北をよく理解できるよう「南北の和解・協力」に重点を置いた統一教育に変えていくことを決めた。小、中、高校の教科書には、次回の改訂版から南北共同宣言が盛り込まれ、小学校2年の副読本には早くも2学期から、南北首脳が握手し合う写真が掲載される予定だ。(金英哲記者)

文化交流などの歩み

1985年9月20〜23日
 南北の芸術公演団、離散家族の故郷訪を契機ににソウルと平壌で同時公演。

88年11月
 世界キリスト教協議会(WCC)の主催で開かれた「韓(朝鮮)半島の統一を祈る国際会議」(スイス・グリオン)に南北のキリスト教らが参加。「95年を統一のための禧年」として宣布(グリオン宣言)。

89年7月29〜8月12日
 在日大韓キリスト教会総会の李・テギョン牧師、南北交流・協力の施行指針制定後、民間次元で初訪北。

90年10月10〜14日
 ニューヨークで南北映画祭開催。

10月18〜23日
 黄秉冀、ソウル伝統音楽演奏団の代表17人、板門店を経由して北の汎民族統一音楽会に参加。

12月8〜13日
 平壌民族音楽団の成東春団長など33人、90年送年統一伝統音楽会の参加のため板門店を経由してソウル訪問。

91年10月28〜11月4日
 南北の仏教人、米国で接触し初の祖国統一祈願仏教徒合同法要。

11月25〜29日
 呂燕九さんなど北の女性界代表15人が、第2回アジアの平和と女性の役割・セミナー参加のためソウル訪問。

92年9月1〜6日
 李愚貞さんなど南の女性界代表30人が、第3回アジアの平和と女性の役割・セミナー参加のため平壌訪問。

98年5月2〜12日
 南の文化財団、朴普煕理事長など、リトルエンジェルス芸術団一行66人が平壌で公演。

11月10〜17日
 ハンギョレ文化財団の代表14人、尹伊桑統一音楽会参加のため訪北。

99年8月31〜9月7日
 南の美術界代表11人が訪北し、マンスデ創作社などを訪問。

12月5日
 南の歌手ら、北の烽火芸術劇場で行われた2000年平和親善音楽会で公演。

12月20日
 南の歌手ら、烽火芸術劇場で行われた民族統一音楽会で公演。

2000年2月10〜21日
 ソウルで開かれた世界平和美術祭典で北の美術品30点を展示。


5月24〜30日
 平壌学生少年芸術団100余人がソウルで公演。


5月29〜6月11日
 平壌サーカス団100余人がソウルで公演。

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