解放55周年記念 ハンギョレ討論会
「南北共同宣言と私たちの未来」
民族統一の実現 在日同胞の参加
主体的に、公然と、広範に
講演に熱中する参加者ら
祖国解放55周年を迎える今年、それを記念してハンギョレ(はらから)大討論会「南北共同宣言と私たちの未来」が7日、在日の学術文化研究会・ハンギョレ研究会の主催で東京芸術劇場大会議室で行われた。在日同胞、日本市民ら約140人が参加した大討論会では、金大中大統領に随行して平壌を訪れた高麗大学の姜萬吉名誉教授の特別講演とハンギョレ研究会メンバーによるリレートーク、会場からの自発的発言が活発に行きかった。
心の中の38度線なくそう 姜萬吉名誉教授は、金正日国防委員長が飛行場に現れることは予想しえなかったし、朝鮮戦争を経たにもかかわらず大統領が人民軍の儀仗隊を査閲したことは大きな驚きであったと述べた。そして、歓迎一色に包まれた沿道で、涙を流しながら歓呼する年老いた人々の姿を見て、共に涙が溢れでたと語り、当時の光景を思い起こしたのか、しきりにこぼれる涙をハンカチで何度も拭っていた。そして、朝鮮半島が大陸と海洋の狭間に位置している地政学的な条件から、統一はベトナム式、ドイツ式であってはならないと述べたうえで、結果的には少しずつ、段階的に平和的に統一するのが望ましいとしながら、分断史上初めて両首脳の職責と名を記した共同宣言は、南北が主役となって進めるウリ式の統一を内外に宣布したものだと指摘した。 さらに、2つの方式でもない統一の方法の1つとして「協商統一(交渉による統一)」を主張しながら、南北会談でようやく平和共存を実現する出発点に立ったが、朝鮮半島の平和共存体制は南・米・日共助体制と朝・中・ロ共助体制を越えて朝鮮半島に南北の共助体制を築くことによって、東アジア全体の対立を解消することになるだろうと強調した。そして、自主的に民族問題を解決することによって、南北はむろん在日の若い人々も堂々と国際社会に胸をはって進出していくことができ、そのためにもこれから21世紀に向けて、若い人々に分断克服のための歴史教育を施すことが重要であると訴えた。 現在、南の現代思想を研究している尹健次さん(神奈川大学)は、「日本のマスコミは首脳会談を報じながら、なぜ朝鮮が分断されたのかを報じなかった。そうしたシステムとか理念を解明することが社会科学者の役割だ」と指摘した。 また、愼蒼宇さん(朝鮮近代史)も、「首脳会談を 政治ショー という1言で一蹴した在日の女性がいたが、これは植民地から分断という長い歴史の過程を見ようとしない象徴的な発言だ」と断じながら、ハンギョレ研究会が統一と差別などの現実的な問題に誠実に応えていかねばと、意欲をにじませていた。 会場では、参加者の張永ジョさん(茨城県在住)が作った「統一祖国 歓迎 6.15南北共同宣言」といううちわが配られた。5日、総聯茨城県中央地域同胞の夏まつりでも配ったという張さんは「私たちの心の中の38度線をなくそう」と強調した。 また、朝・日問題についても様々な言及があった。徐京植さん(東京経済大学、作家)は「『韓日条約』で日本の植民地問題があいまいにされたが、朝・日国交正常化交渉に向けて日本に加害責任を認めさせるよう私たちが積極的に世論を喚起していかなければならない」と主張した。姜萬吉名誉教授も「朝・日国交正常化交渉の過程は『韓日条約』を正す過程にしなければならない」と述べ、「分断意識を若い世代に譲ってはだめだ」と強調した。(金英哲記者) |