それぞれの四季

食事作りの手応え


 結婚前、一番の楽しみは夕飯であった。忙しい1日の仕事を終え、疲労困ぱいの心と体に「オモニの味」は、何よりの栄養剤となってしみわたった。

 私が帰るとオモニは片付けが終わった後でも嫌な顔ひとつせず、ご飯やおかずを温め直して膳に並べてくれた。帰宅時間もまちまちで、夕食を済ませて帰ることも多かったのに、いつもちゃんと私の分を取り分けてあった。夕飯ばかりでなく、朝早く出かける私の朝食、時にはお弁当まで包んでくれた。20歳を超えた娘が…と、今考えると恥ずかしいし、情けない。でも当時は、「悪いなぁ」と思いつつ、心のどこかで当たり前のように受け止めていたのも事実。

 こんなわがままな私が、結婚して主婦となり、夫と娘の食事をつくるようになって早3年が経つ。砂抜きをしていたアサリが生き返った!とパニックを起こして、オモニに電話をしたこともあったし、来客中にこっそりオモニのレシピをファックスしてもらったこともある。結婚当初、台所はまさに戦場。最近、少しは手際もよくなってきたが、家族が私の料理に満足しているかどうかは甚だ不安だ。2歳の娘は、味付けが気にいらないと貝のように口を閉ざし、見向きもしなくなるし、夫は味を見る前に七味唐辛子を山のようにふりかける。そんな二人の姿にため息をついたりもしているが、食事作りは確かな手応えとやりがいがあって楽しい。

 母親が食事さえしっかり作っておけば、家庭は円満、子供の非行も心配ないと信じている。これから何十年も続くであろう、食事作り。ゆっくり頑張っていきたい。(主婦)

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