開城に大規模工業団地

現代グループが発表

8年間に2千万坪を開発


年間で200億ドルの輸出見込む

 南朝鮮の新聞報道によると、現代グループは10日、北側と進めていた西海工業団地の造成問題で、その敷地が開城に決まったと発表した。また今年中に道路を利用した開城観光事業を開始するとも明らかにした。

 現代側の発表によると、鄭夢憲・現代峨山理事会議長一行が今回の訪北(8〜10日)時に、この問題を北側と協議し、現在、韓国土地公社関係者を含む敷地調査団が開城地域を踏査中で、20日までには測量など工業団地建設に着工するとのこと。

 また開城観光は、バスを利用する方法が有力視されており、先日の南北閣僚級会談で協議された京義線(ソウル−新義州)が復元されれば、鉄道利用も並行して行う。観光客の輸送経路はソウル−京畿道・ムンサン−板門店−開城で、所要時間は約2時間。現代側は開城の満月台(高麗の王宮跡)、善竹橋(高麗時代に作られた石橋、儒学者の鄭夢周が暗殺されたと伝えられている)、朴淵瀑布など遺跡と景勝地を組み込んだ観光商品を企画している。実現すれば、ソウルからの日帰り観光が可能になる。

 西海工業団地の候補地としては、これまで黄海南道の海州、平安北道の新義州、南浦などが挙がっていた。それが今回、開城になったのは、同地が板門店から8キロしか離れておらず、したがって南からの交通の便も良く、南朝鮮の仁川港も使えるほか、送電が容易で、京義線が連結されれば鉄道輸送も可能になるとの事情からと考えられる。

 工業団地について現代グループでは、3段階の事業計画を明らかにしている。

 第1段階では、100万坪のモデル工業団地を造成し、中小企業の誘致、設備移転の容易な業種の誘致を、第2段階では、世界への輸出基地前進基地として300万坪の工業団地を造成し、北から原料を調達することができる業種の誘致、輸出競争力の確保を計画している。

 なお、第1、第2段階では、カー・オーディオやパソコン、自動車の組み立てと、繊維、衣類、玩具、鞄、食品、飲料水、石油製品、自動車部品などの生産、コンピュータ事業などの業種を主に誘致する。

 第3段階では、複合工業団地としてさらに400万坪の工業団地を造成し、重化学工業、製鉄・製鋼工場などを誘致する計画だ。

 800万坪の工業団地と労働者の住居、学校、ホテルといった周辺施設1200万坪を合わせた計2000万坪を今後、八年間にわたって開発、完工時には850企業が入り、22万人の労働者が働き、年間200億ドルの輸出実績を上げることができるという。

 ただ、これは現代側が発表したもので、北側がこれについて明らかにしたものはない。また、南朝鮮のLGグループも軍事境界線付近に国際的な物流センターを建設すると発表したことがあり、今回の現代側の発表が、北側とどこまで具体的に話し合われたものかも確認されていない。

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