統一の世紀へカウントダウン

京都の在日青年5団体
大晦日に共同イベント


記者会見した5団体の代表ら。右から民団青年会、朝青、
韓青、留学同、韓学同(8月10日、ウイングス京都)


 6・15南北共同宣言を受け、統一への機運が日増しに盛り上がるなか、京都府下の同胞青年学生5団体は、今年の大晦日の夜から来年の元旦にかけて、共同イベント「ワンコリアカウントダウン21」を京都市内で開催する。各団体代表らで構成する実行委員会が10日に記者会見し、発表した。祖国統一を志向する理念のもと、同胞青年らが一堂に会し、ともに新たな世紀を迎えようというもので、府下在住の同胞、日本市民を中心に1万人が集う計画。関係者らは、「今こそ祖国、民族は1つになれることをアピールしたい」と意気込んでいる。

共通課題実践へ合意文
「一つになれる」をアピール

 「カウントダウン」を共催するのは、在日本朝鮮青年同盟京都府本部(朝青)、在日本朝鮮留学生同盟京都地方本部(留学同)、在日韓国青年同盟京都府本部(韓青)、在日本大韓民国青年会京都府地方本部(青年会)、在日韓国学生同盟京都府本部(韓学同)の5団体。

 また、京都にあるすべてのコリアン団体に協賛を呼びかけるほか、後援には府、京都市、京都商工会議所をはじめ団体、企業などが付いている。

 5団体は、@民族・統一の輪を広げるA21世紀型=祖国統一型ネットワークの創造B在日コリアンが直面する課題の共有C祖国統一の世論高揚D京都におけるコリアンと日本人との「共生」――以上の5つを柱とする、「歴史的6・15南北共同宣言を熱烈に支持歓迎し実践していくための京都在日コリアン青年学生5団体合意文」を交わしており、「カウントダウン」は実践行動の第1弾。

 イベントは、大晦日の午後8時から翌朝2時まで開催。内外のアーチストによるワンコリアコンサートをはじめ各種公演が披露され、会場内には飲食コーナーなどが設けられる。21世紀を迎えるカウントダウンを経て、最後は「ウリエ ソウォン(われらの願い)」の大合唱で締めくくる。

昨年から準備流れを「民族」に

一致

 「21世紀はコリアンにとって、一体どんな世紀になるんだろうか?」

 こんな素朴な問いを土台に、「カウントダウン」の素案がまとまったのは昨年7月。今から、1年以上前のことだ。

 昨年の初めから、5団体の代表らは交流を重ねてきた。集まり、話し合うなかで、いくつかの意見で一致した。20世紀はコリアンにとって、「植民地の世紀」、「分断の世紀」であったということ。在日同胞社会は民族的アイデンティティーの希薄化など深刻な問題に直面していること。そして、「これらの流れを変えて新しい時代を切り開くにはバラバラの努力ではだめだということだ」(李東一・留学同委員長)。

 府下には日本国籍取得者も含め、約1万人の同胞青年がいるとされる。だが、いずれかの団体とつながりのある青年は、5団体を合わせても2000人に届かない。でも「カウントダウン」では5000人の同胞青年を集める。「流れ」を民族に引き寄せるために定めた、共通の目標だ。

曲折

 実行委が発足したのは今年4月。しかし、本来は昨年9月のはずだった。

 南北共同宣言など思いもよらなかった当時、それぞれの団体が抱えるしがらみは軽くはなく、足並みが揃わず、曲折を経たりもした。

 乗り越えられたのは、交流で培った信頼と「未来を切り開くのは自分たち」との使命感が共有されていたからだ。

 「統一を目指すなら、民族大団結を避けることなどできない」(姜聲徳・韓青委員長)

目標

 「世紀の変わり目は逃すことのできないタイミング」(洪昌明・青年会会長)、「先駆者としての役割を果たす」(李承現・韓学同委員長)と、実行委は意気込む。

 イベントの成功を通して狙うのは、「1つになれること、1つになることの実感を広めること」だと、関係者らは強調する。

 「北と南、総聯と民団など、これだけ相違が広がると1つになるのは無理だと言う人がいる。だがそうではない。離散家族など、民族の悲劇や困難は、難しくても統一を目標にすることで解消される。それができた時の素晴らしさを、同胞らの目の前に広げてみたい」(李武律・朝青委員長)

   ◇    ◇

 明日から、離散家族の再会が始まる。総聯の故郷訪問も、近く実現する。半世紀以上、違う道を歩んできた南北が、ひとつのゴールを模索している。産みの苦しみも伴うであろうこの歩みを、共に進もうという意志が、在日の新世代に息づいている。 (金賢記者)

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