8月15日〜9月2日
新宿・歌舞伎町、大久保  多文化たんけん隊

多民族が共存できる街に


 外国籍の人がもっとも多く在住している東京・新宿区。その新宿、歌舞伎町、大久保を主な舞台に、様々なスポットを歩き、色々な人たちと交流する「多文化たんけん隊」(主催=同実行委)が、15日から9月2日まで70本のイベントを行う。同イベントは、今年4月の石原慎太郎・東京都知事の「三国人」発言を契機に企画されたもの。多民族が共に暮らす社会を目指して共に理解し合うきっかけをつくっていこうというのが目的(8日、同実行委の記者会見)だ。

コリアンの理解深める企画も

 現在、新宿区在住の外国人登録者数は、2万3252人(7月末現在)。人口比からいうと多いのは港区だが、同区は欧米系がほとんどだ。新宿区の特徴は、アジア系が集中しており、中でもコリアンがトップで、次いで中国、フィリピン、ミャンマー、米国と続き、まさに無国籍都市の様相を呈している。

 4月の石原都知事による、「三国人」発言をきっかけに、発言の撤回と謝罪を求める辛淑玉さん(人材育成技術研究所所長)らが、そうした新宿区の特徴に注目しながら、今回のイベントを企画した。石原都知事はまた、外国人が「騒擾(そうじょう)事件」を起こした場合の自衛隊の治安出動をあおる発言も行ったが、一般市民に正しい認識を持ってもらおうということだ。

 実行委の1人、日本労働組合総連合会東京都連合会の上原泰男・福祉局長は、「阪神大震災のような災害が東京で起きた場合、先に述べた知事の発言にあるような立場で解決に臨むのではなく、平常時から共に暮らす市民として、どのように備えるのか考えていくべきだ」と、今回の企画の趣旨について述べた。

 イベント最終日には、多文化防災実験(9月2日、場所=新宿区の常圓寺)が行われる。ここでは1995年の阪神大震災での教訓を生かしながら、災害時における民族・国籍を越えて手を取り合って命を守る知識や技術を作り出し、それをマニュアル化し、各自治体に配布する予定だ。

 また、同実行委のメンバーでもある多文化研究者でジャーナリストのトニー・ラズロさんは、ニューカマーのマナーに対する苦情について「それぞれの民族には習慣がある。外国人がマナーを守らないというなら、情報を提供してあげるべきだ。」と述べた。

 イベントの企画立案者の一人で代表の辛さんは、「1ヵ月半の準備期間中、新宿界隈の店や人に企画の趣旨を話すと誰もが理解し、一緒にやろうと賛同してくれた。異質なものを排除しないのが、この街の特徴のように思えた」と言う。

 イベントのなかには、コリアンとの理解を深めるための企画として「川崎桜本ツアー〜コリアタウン巡り」(16日)や、初めて外国人歓迎の看板を出した「私の新宿物語〜韓国の不動産屋さん」(19日)、朝鮮への食糧支援問題について「北朝鮮のことを知ろう〜山本俊正さんのお話」(24日)、「ハルモニの70年〜金山玉さんのお話」(25日)、主に済州道出身の在日同胞が多く在住している三河島界隈をフィールドワークする「スペースイン三河島」(27日)などが盛り込まれている。

 参加方法は、「多文化たんけんパスポート」(1000円)を購入し、各イベント毎に予約して集合場所に集まる。問い合わせは同実行委=рO3・5524・2642  (金美嶺記者)

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