日校生らのサマースクール
9地域で1千余人参加

コリアンとしての自覚培う


 日本の中学・高校に通う在日同胞生徒を対象にした恒例のサマースクールが、9つの地域に分かれて2日から12日まで行われた。延べ1000余人の参加者らが、民族色豊かなイベントを通じて多くの友人を得るとともに、コリアンとしての自覚を培った。中四国・九州地域と、東京で行われた日校生と朝高生の合同キャンプを訪ねた。

中四国・九州地域
帰化しても朝鮮人大切な「宝物」探した

 朝鮮人として堂々と生きていくための自分を見つけることをテーマに開かれた中四国・九州地域(9〜11日、福岡)には、170余人の日校生が参加。同地域内にある朝鮮学校生徒三十余人が初めて参加したほか、日校生が通う学校の教師40余人が同行した。

 初日はまず、自分の本名を覚えた後、歌手・俳優として活躍する在日同胞の白竜さんが、自身の経験などについて語るトークショー、生徒たちによるサムルノリ、農楽、朝鮮舞踊、バンド公演などが行われた。

 高校1年の時に広島学生会活動に参加して以来、朝鮮舞踊を習ってきた権明心さん(高3)も民族衣装姿で踊った。朝鮮舞踊を通じて民族心を培ってきた彼女だが、国籍は日本だ。

 「私は帰化しているが、体には朝鮮人の血が流れている。朝鮮人としての自分を取り戻すために、今後どうしていくべきかを考えていきたい」と述べていた。

 2日目には、日本の大学でハングル語の講師を務める朴龍哲さんが、日本の学校に通う同胞生徒・学生らの意識調査結果などについて講演した。また運動会やキャンプファイヤーなどを通じて、民族の触れ合いを深めた。

 初参加の゙裕太くん(高1、福岡在住)は、本名で学校に通う人と接して、これからは朝鮮人であることを隠さず生きていくことを決めたという。

 ゙くんは「これまで日本の友達しかいなかったが、悩みを打ち明け、語り合える友達ができ、『大切な宝物』を探したようだ。来年もぜひ参加したい」と語る。

 一方、今回で3回目の参加という岡山在住の辛成哲くん(高3)は、自分が「祖国、民族のことを知らない」ことを再認識。卒業後、朝鮮大学校へ進学することを決心した。(李明花記者)

東京ハッセンキャンプ
生き方の共通性見出す朝高生らが初参加

 東京湾に面した若洲キャンプ場で行われた、東京学生会主催の「東京コリアンハッセンキャンプ2000―広げようぼくらの大友情計画」(8〜9日)には、300余人が参加した。

 今回は朝高生も参加。演劇「バンテージ」で朝鮮人であることを隠して生きる青年役を演じた、東京朝高3年の成豪哲くんは、「僕たち朝高生に足りないものは、自分のなかで必死に『民族』を追求する意欲だと思う。本名を名乗り、朝鮮人として生きていくのは当然。でも、そんな環境にいる同胞はごく一部だと日校生のトンムたちと出会って分かった」

 李陽仙さん(女子聖学院高校2年)は、「立場を逆転させた役を演じたことで、お互いの環境や気持ちが理解できたはず。コリアンとして堂々と生きるのは当然なんだと改めて感じた」と語った。

 文化公演の最後、「今日からみんなの新しい一歩が始まる。コリアンハッセンの輪を広げていくために力を合わせよう!」全弘恭くん(聖学院高校3年)が叫ぶと、前列にいた学生たちは肩をくんで「われらの願い」を歌い出し、いつしか大合唱に変わっていった。

◇           ◇

 当初、学生たちは「朝高生は怖そう」、「日校生は『日本人化』しているのでは」と、互いに違ったイメージを抱いていた。

  だが、「日校生は通名で学校に通うことに疑問を抱いてほしい」、「朝高生にも朝鮮人としての自覚が足りないところがある」など、お互い率直に語り合う過程で友情を育んでいった。そして「『自分は朝鮮人なんだ』と地に足をつけて生きていけば、何があっても倒れない」と、環境は違っても「コリアンとして生きていく」共通性を見出だした。
(李賢順記者)

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