春・夏・秋・冬

 7日は立秋だった。暦の上では秋の到来である。この時期になると、必ず思い起こす風景がある。開城の近郊、農村地帯に広がるポプラ並木である。真っ青な空に一直線に伸び、時おり葉に風を集めて、さわさわと揺れる。その風の数層にも、ひんやりとしたものが感じられ、祖国にいることを実感する

▼その古都・開城に、現代グループが大規模の工業団地を造成し、あわせて観光事業を始めることになった。現代側の計画によると、前者は8年間に2000坪を開発し、コンピュータや軽工業、自動車産業など850社、22万人の労働者を収容。年間200億ドルの輸出を目指すという

▼後者は、バスを利用した日帰り観光が有力視されているが、先の閣僚級会談で協議されたソウル―新義州間の鉄道が連結されれば、平行して利用することになる

▼開城は板門店からわずか8キロ。金剛山観光と違って、軍事境界線を越えて南北の民衆がその足で直接、行き来するようになれば、軍事境界線つまり停戦協定は無力化されることになる。南北共同宣言の、まさに本質部分の実践となる

▼そしてその後に来るのは、停戦協定に代わる平和協定の締結問題である。そこまで話が進めば、当然ながら朝鮮半島の軍縮が現実味を帯びてくる。南に駐留する米軍兵力、そして基地、さらには朝鮮半島周辺の軍事力…、多層の話し合いが必要になってくる

▼祖国解放、そして分断から55年。血と涙と痛みの歴史だったが、その分断に責任のある日本は、南北が整えた舞台でどのような舞いを披露しようとするのだろうか。(彦)

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