「アボニム!」「お前が息子か」
南北の離散家族が再会
半世紀の思い 涙が流す
母のパク・ポべさんと抱き合う人民経済
大学研究士のカン・ヨンウォン氏=ソウル
【平壌、ソウル発=本社記者取材団】朝鮮解放55周年を迎えた15日、南北の離散家族百人が平壌とソウルでそれぞれ、生き別れとなった肉親、親族らと対面、約50年ぶりの再会を涙で喜び合った。訪問団の構成は南北とも離散家族100人、保障メンバー30人、記者20人で、団長は北側が柳美英天道教青友党委員長、南側が南朝鮮赤十字社の張忠植総裁。南北の団長は平壌とソウルで到着声明を発表した。南北共同宣言の1項目に含まれている離散家族の再会実現は、民族分裂の苦痛をいやし、統一を早めるうえで重要な意義を持つ出来事となる。
平壌 再会場となった高麗ホテル。「アボニム」、「オモニム」、「どれ、お前が私の息子か」、「妹よ、どれだけ会いたかったか」。長い歳月を経て大きく変わった肉親の姿に、分断の痛みを実感し涙を抑えきれない南側訪問団一行。 彼らの中には解放された祖国で幸せな家庭を築くや否や、外勢による戦渦の中で離れ離れになった後、共に白髪となって再会した夫婦、よちよち歩きの時に分かれた母の懐に熟年を迎えてやっと抱かれた子供たち、小川がせせらぐ山村の入り口で再会の約束もせずに分かれた後、安否さえつかめなかった兄弟らの姿があった。 50余年間うっ積した思いを晴らし、熱い涙の中で父、母、兄、姉にあいさつする人々、互いに抱き合い、流れ出る涙を拭い、頬ずりする姿が会場のあちこちで見られた。 分かち合う肉親の情が熱ければ熱いほど、家族、民族がこれ以上離れては暮らせず、形容し難い分裂の悲劇を1日も早く終わらせなければならないことを実感していた。 この日、朝鮮赤十字会中央委員会は南側の離散家族訪問団のために人民文化宮殿で宴会を催した。 張在彦・朝鮮赤十字会中央委委員長は演説で、南北共同宣言の精神に沿って民族の和解と団合を達成するうえで第一歩となる離散家族の交換が成果裏に実現することで、民族の自主と団合の気運がより高まるだろうと述べた。 南側の張団長は、離散家族の相互訪問は分断の過去を清算し統一と和合の新たな民族史を切り開く出発点になると語った。 一方、張団長一行は同日、朝鮮赤十字会中央委員会を訪れ、張委員長ら関係者と談話を交わした。 ソウルに到着した北側の訪問団一行は午後、肉親との対面を果たした。対面が始まった瞬間、場内には肉親を探す互いの呼び声、泣き声がこだました。 父母や兄弟、息子や娘の名を呼び、涙で顔も服もびしょびしょに濡らしながら、互いに頬を寄せ合い、抱き合う肉親と親族。白髪頭の息子を、幼い頃のように胸に抱き顔や肩をさすりながら、何度もハンカチを目にあてる南の母。早くに夫を亡くし、女手一つで学校に通わせた息子が世界的にも有名な院士、教授、博士となったのを知って誇らしげな母は、息子をいっこうに放そうとしない。 すぐに帰るとの言葉を残した父にやっと会えた一家、北の学位学職の所有者である姉の名前を何度も呼ぶ妹、リュック1つで家を出た兄、弟が北の各機関の活動家、著名な科学者、研究士、俳優、美術家となって現れたことがあまりにもうれしくて、自分の目を疑いながらも抱き合う兄弟姉妹…。 南朝鮮赤十字社ではこの日、北側訪問団のために宴会を催した。 北側の柳団長は演説で、「今回の訪問団交換は金正日総書記が2ヵ月前、金大中大統領と共に自ら整えたものだ」と述べた。 |