春・夏・秋・冬

 朝鮮人ほど、熱い情を持った民族はない。先週、平壌とソウルで行われた離散家族の再会を見て、そう確信した

▼今年100歳になるチョ・ウォンホさんは、10年前から痴呆のためにまったく話せなかった。が、北から来た次男のリ・ジョンパル氏(69)が「オモニ、ジョンパルですよ」と話しかけると、「お前がジョンパリか」、「本当に長かった」と、はっきりした口調で答えた

▼末期がんに苦しんでいたリ・ドンマンさん(女、86)は、息子のアン・スナン氏と再会した後、顔色が見違えるようによくなり、食もすすむようになった

▼ソウル医大教授のチャン・ガヨン氏(65)は、86歳の老母の胸に顔を埋めて泣きじゃくった。91歳のオモニは、70歳になる息子の口に、食べ物を1つひとつ運び、65歳の息子は、87歳の母親に涙を拭いてもらった。50年前、裸足のために凍った大同江を渡れなかった末息子のために、82歳のオモニは靴と靴下を携えてきた

▼親が、子供が北に行ったことで「共産主義者家族」のレッテルを貼られ、四六時中監視されるなど、言いしれぬ苦労を強いられた南の家族。再会を拒んでいた息子も、最後には母親の胸に抱かれ、父子は許しあった

▼「生まれて初めてオモニに嘘をつきました。『今度はいつ来るのか』と訊かれて、『またすぐに会いに来ます』と答えたのです」。再会の喜びが大きければ大きいほど、別れが辛くなる

▼でも、今度こそ離ればなれになった家族が、いつでも会えるようになるだろう。それでこそ、辛い別れもなくなる。(元)

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