「ムジゲin大阪」

同胞障害者とその家族たちの交流会

親睦深め経験学ぶ


活発な意見交換が行われたセミナー


総聯の各組織 同胞、生徒らが支援/地方の組織作りの一助に

  障害者を持つ家族のネットワーク組織ムジゲが母体となって企画した「ムジゲin大阪」が19、20の両日、東大阪市の総聯中央学院近畿分校(近畿学院)で行われ、ムジゲの会員や福祉関係に携わる同胞、関係者ら160人が参加した。交流会では、同胞社会と福祉をテーマにしたセミナーが行われ、焼肉や花火大会などを通じて交流を深めた。

多くの助け得て

 ムジゲが全国的に集まるのは、一昨年の東京に続き、2回目のこと。

 今回は、8都道府県から、ムジゲの会員のも合わせて、ダウン症や自閉症など様々な障害児を抱える20家族(55人)とともに、福祉関係に携わる同胞たちも参加し、忌たんのない意見を交換した。

 今回の企画にあたっては、総聯中央同胞生活局と総聯大阪、女性同盟大阪、東大阪南青商会、総聯兵庫などが協力し、大阪府下の朝鮮学校教員、学生、朝鮮大学生の研究院生らがボランティアとして準備活動に携わった。

 ムジゲの申桃順会長は、「お茶を飲みながら自分たちの経験を話し合おうと、7人の会員で五年前に発足したムジゲが、多くの助けを得て、このような催しを持てるようになったことは夢のようだ。同胞社会でも障害者問題に対する理解と関心が少しずつ深まっていると感じた。なお一層、自然に共生していけるようになることを望む」と語った。

 今回の目的は、交流を通して障害者を持つ家族らが、さらに広いネットワークを持てるよう親ぼくを深めること、そしてこうした交流集会の経験を生かして、各地方での実情に合った同胞福祉連絡会の組織作りに役立てていこうというものだ。

組織に協力を

 初日のセミナーでは、四人のパネラーを中心に障害者の教育、就職問題に対する経験、意見交換が行われた。

 まず、民族教育を受けたいと願う同胞障害者に、どのようにその場を与えてあげるかについて李久美さん(44、姫路市在住)は、「ほかの父母からクラスに障害児がいたらほかの生徒の勉強に支障をきたすと言われた。親としては胸が痛い言葉だったが、それでも初級部5年まで民族学校に通わせた」という自らの体験を紹介した。

 朝鮮学校が障害児を受け入れる問題は、例えば経済的な面から施設が整備されていないなど、結局、日本学校とは違って、熱意ある校長の判断とその意をくんだ教師に頼りきるしかない状況にある。それでも、経験豊富なオモニ教員らに呼びかけて受け入れるべきではないか、などの提案もあった。

 また、障害の重度に合わせて、支部や学校などで行っている、土曜児童教室、夏期学校や、日高生のサマースクールに参加させてはどうか、などの意見も出た。

 就職問題についても、在日同胞障害者として可能な限り同胞社会で自立した生活をおくれるよう環境を整備していくべきなどの意見が相次いだ。

 パネラーの1人、花園大学社会福祉学部の慎英弘助教授は、「同胞障害者は人口比率から見て、2万8000人から3万人いると推測されるが、大部分は日本人(社会)の支援によって生活している。今後は組織としての後押しが必要だ」と述べた。

 知的障害者の更生施設「あゆみの里」(神戸市)を日本人と一緒に設立、運営している呉淑蓮さん(55)は、地域同胞の支援を受けながら、三ノ宮に同胞障害者が共同生活を送れるグループホームを設立する夢を持っている。ぜひ、組織的にも協力してほしい」と訴えた。

 参加者の間では、グループホームや作業所を設立するうえで、総聯傘下の学校法人、医療法人などの協力、支援を得て積極的に活用してはどうか、などの案も出た。

行政への働きかけも

 今集会には、ボランティアも多数参加した。

 ボランティア全体の責任者でもあった、大阪朝高の金晴美教員(36)は、「障害者の問題は、社会全体で取り組むべき問題。学生も教員も分からないことが多いなかで、今回のような交流会を持つことは意義が大きい」と語った。

 また今回、交流会が持たれている間、東大阪南青商会の4人の役員も現地を訪ねてきた。

 黄重彦会長(39)は「今後、在日同胞の障害者問題に取り組むためには、日本の行政への働きかけも念頭に入れて考えるべきだ。とにかく関心を持っていきたい」と語っていた。  (李瑟基、崔慧順記者)

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