日本教職員チュチェ研第24回全国(水戸)集会

過去の責任明確にし補償を

国交正常化の早期実現など4項目決議


 日朝友好親善を深めるための全国交流集会|日本教職員チュチェ研第24回全国(茨城・水戸)集会|(主催=日本教職員チュチェ思想研究会連絡協議会・清野和彦会長、日本朝鮮学術教育交流協会・中小路清雄会長)が8月27日、茨城県水戸市の茨城教育会館で行われ、各地の会員とともに、在日本朝鮮人教職員同盟中央本部の蔡鴻悦委員長が来賓として招かれたほか、朝鮮学校教員らが参加した。

 歴史的な南北共同宣言発表(6月15日)後、和解と協力が急テンポで進み、その一方で朝・日国交正常化のための第10回会談が終了した直後に行われた集会では、まず、大石忠雄事務局長が基調報告をした。

 大石事務局長は、日朝国交正常化の早期実現に努力し、強制連行、強制労働、従軍慰安婦の問題など、侵略戦争や植民地支配が引き起こした出来事の責任の所在を明確にし、補償を含む具体的な措置を実現することは、侵略国日本の緊要・緊急な課題だと指摘した。

 また、民族教育権を始めとする在日朝鮮人の諸権利確立と自主権擁護の運動を在日本朝鮮人教職員同盟と連携しながら行い、協力関係をさらに強めていこうと訴えた。

 次いで、鎌倉孝夫・東日本国際大学学長が「朝鮮半島をとりまく情勢と私たちの課題」と題する記念講演を行い、「一連の流れは一貫して朝鮮が傾けてきた南北大団結、自主的平和統一への努力が確実に実っていることを示している」と強調した。

 開会集会後、参加者たちはそれぞれの分科会に分かれて交流を深めた。

 第1理論分科会「朝鮮における社会主義建設の現状と展望」では朝鮮大学校の玄源錫教授、第2教育実践分科会「在日朝鮮人の民族教育権について」では茨城朝鮮初中高級学校の黄鎮成校長、そして第3日朝親善活動分科会「統一支持運動、日朝連帯市民運動、従軍慰安婦・強制連行調査活動」では千葉経済大学付属高等学校の山辺健夫教諭が報告した。

 集会では、21世紀に向けた当面の課題について (1) 朝鮮の正しい情報伝達に努力する (2) 98年の総聯千葉支部の羅勲副委員長の虐殺事件などの真相究明などに努め、日本人の日朝友好に向けた意識改革を目指す (3) 在日朝鮮人への民族差別を解消させる (4) 強制連行、「従軍慰安婦」問題について、日本政府に真相を調査させ、日本の侵略戦争・植民地支配の責任と補償を明らかにし、朝鮮の統一と日朝国交正常化の早期実現を図る、とする4項目が決議された。

分科会報告

未来に残すべき1世の証言、民族教育の処遇改善を

 【日朝親善活動分科会】

千葉経済大学付属高等学校の山辺健夫教諭は、1989年に日朝教員5人で発足し、千葉県内に在住する在日朝鮮人1世の聞き取り調査をしてきた「在日朝鮮人のルーツをたどる会」の証言収集活動などについて報告した。

 1世の証言を記録として残しておくことは正しい歴史教育を行うためにも大切な作業だとして証言収集活動を初め、鄭雲模さん(79、千葉市稲荷町在住)ら6人の1世を記録としてビデオテープに収録した。

 山辺さんは、「子どもたちに正しい歴史教育をするためにもこうした作業は大事であり、早急に取り組まなければならない作業だ。1世は皆、高齢であり証言収集に許される時間は残り少ない。歴史の証言を21世紀にむけてきちんと残していくためにも、この活動を全国的に広めていくことが必要だ」と訴えた。

 また、「最近も千葉朝鮮初中級学校が襲撃されたり、98年には朝鮮会館襲撃によって、朝鮮総聯千葉役員が虐殺された。こうした問題は、日朝の歴史が正されて来なかったから起こることだ。まず、歴史を知り、新しい日朝関係を築くための運動に多くの人が関わるようにすることが大事だ」と語った。

  【教育実践分科会

 在日朝鮮人の民族教育権について茨城朝鮮初中高級学校の黄鎮成校長は「日弁連の勧告書でも触れており、多くの世論の支持も得ているが、在日朝鮮人の民族教育に対する教育助成金の問題や、国立大学の受験資格の認定問題など、民族教育における差別は依然、改善されていないままだ。昨年7月に大学入学資格検定の問題が緩和されたが、民族教育に対する抜本的な改善にはなっていない」と、指摘した。「子どもたちを寄宿舎に入れる問題や、遠距離通学、学費の負担など、朝鮮学校の父母らは、大変な思いをして民族教育を守っている」と、現状について言及した。

 さらに、黄校長は民族教育への理解を深めるため、昨年、茨城朝鮮初中高級学校で「朝・日ハンドinハンドフェスティバル」を開き好評となったが、今年は朝・日国交正常化の機運を高めるために、第2回(10月7日)を予定していると述べながら、今後も文化、サッカーを中心とするスポーツ、さらには朝鮮学校の授業参観などを通して地域の日本人と交流を深めていきたいと述べた。(金美嶺記者)

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