今年の景気 識者の分析

好況期待困難、下り坂へ


 大手百貨店や生命保険会社の倒産など暗い話題ばかりが先行した、昨年の日本経済。個人消費の低迷で、「勝ち組」と「負け組」の明暗がくっきりと分かれた年でもあった。21世紀を迎えた今年、景気の先行きはどうなるのか。日本の有力シンクタンクや経済専門紙の意見をもとにまとめた。

有力シンクタンク、経済専門紙の景気予測

  今年の景気・消費は? その理由は?
日本総研
(日本経済新聞
2000/12/24号)
景気は基本的に今年と同じパターンが続く。個人消費回復は弱い 米国経済の先行き懸念が大きいため。将来の年金や医療への不安もあり、消費回復も期待できない
三菱総研
(週刊ダイヤモンド2000/12/30−2001/1/6号)
バブル経済崩壊後、最も厳しい。公的需要が引っ張る景気から、民需主導の景気拡大へバトンが伝わらない ITなど一部の産業のみ突出しているため。経済全体では経済成長率で再びゼロ成長に限りなく接近へ
三和総研
(週刊東洋経済
2000/12/30−2001/1/6号)
まさに下り坂に入ろうとしている。とくに上期の日本経済に回復を期待するのは困難 日本の景気回復が輸出主導型であるため。米国をはじめ世界景気の減速で日本の輸出は鈍化、景気は腰折れ
日本経済新聞
(2000/12/16号)
景気回復の鈍さは懸念されるものの、緩やかな回復基調は崩れない 好調のIT関連投資がけん引役を果たすため

消費回復へ厳しい見方/I T突出、全体は低調

 専門家の意見を総合すると、日本の景気は今年も、「回復は難しく、むしろ下り坂に向かう」という分析が大勢を占めている(別表参照)。

 「2001年はバブル経済崩壊後、最も厳しい年になるだろう」と、厳しい予測をするのは三菱総研。公共事業など公的な需要が引っ張る景気から、個人消費など民需主導の景気拡大へ、バトンがうまく伝わらないため、何とか底上げしてきた景気も息切れしてしまうと指摘する。

 三菱総研では、その理由として、情報技術(IT)をはじめ一部の産業のみ突出しており、ITは好調でも産業全般で見ると横ばいになると分析している。

 三和総研は、日本の景気回復が明確な輸出主導型であることが景気の復調を妨げており、とくに上期の日本経済に回復を期待するのはきわめて困難と見る。

 長く好調を維持してきた米国経済はやや低調になり始めており、それに連動して世界景気全体も減速傾向にあると、三和総研は分析。そのため、日本の輸出数量は鈍化し、景気浮揚は困難になると見ている。

 日本総研も同じく、米国経済の先行きに対する懸念が、日本経済にとって大きな不安要素だと分析。将来の年金や医療への不安もあり、消費回復には期待できないと指摘している。

 その一方で、日本経済新聞は、同様に景気回復の鈍さは指摘しながらも、好調のIT関連投資をけん引役に、緩やかな回復基調は崩れないと分析しており、とくにIT関連投資のすそ野の広がりから、経済成長に対する消費の貢献度も増すだろうと見ている。

伸びていない個人消費/現状分析しっかりと
呉州棟・商工連商工部長の話

 今年の日本の経済成長率を、日本政府は1・7%、主要エコノミストは平均2%程度と予測しているが、実際には、景気は昨年と変わらず横ばいの状態が続くと見られる。

 今の日本の景気を引っ張っているのは、情報技術(IT)関連を含めた設備投資であり、同胞商工人の関心が高い個人消費は伸びていない。

 景気浮揚のキーワードは個人消費の拡大。これは、客商売が多い同胞商工人には密着した問題だろう。庶民の財布の紐がいっそう固くなることを前提に考え、日本経済の流れと自身の商売の現状分析をきちんとしてほしい。

 同胞商工人を見ると、不況下でも商売が好調な人もいれば、だめなところはだめと、くっきり分かれている。こうした「勝ち組」と「負け組」の差はどこにあるのか。

 1つは、環境の変化、時流をつかんでいるかどうか。飲食業の場合、朝鮮料理の原点を守りながらも、流行を読み、若年層のニーズに合ったメニューを柔軟に出している店はやはり伸びている。もう一つは、バイタリティーを持って経営意欲を発揮しているかどうかだ。同胞商工人はこれを肝に銘じてほしい。

 商工連は今年、結成55周年を迎えるが、これを機に、1世の経営哲学を若い3、4世が受け継ぎ、ビジネスチャンスをつかめるよう、力を注ぎたい。

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