新世紀へ 民族教育を歩く

感動のリサイクル


 「まさに感動のリサイクルですね。」そう言って彼は目を輝かせた。昨秋、東京都内の朝鮮学校を訪れ講演した直後の言葉だ。

 妹尾信孝さん(NPO法人・日本福祉教育研究所所長)は、難産の後遺症から言葉と四肢に障害を持っている。

  自らの体験をもとにね各地で福祉や人権、教育をテーマに講演を続ける中で、地元の群馬や東京、神戸、大阪の朝鮮初、中、高級学校、朝鮮大学校などへも積極的に足を運んできた。

  障害を克服してきた自身の生き方を伝えることでみんなを「元気づけたい」と、これまで約80の学校で講演をしてきたが、中でも朝鮮学校の子供たちからは、「反対にたくさんの元気とエネルギーをもらう」と話す。彼の言葉に一生懸命耳を傾ける子供たち。その姿勢に胸を打たれ、

  講話にますます熱が入るるすると子供たちの感動もより膨らむ。語り手と聞き手の間で感動が感動を呼び、次第に大きなエネルギーとなっていく。その感じを彼は感動のリサイクルと表現した。

 このリサイクル現象に特別の要因があるとすれば、それは、同じ痛みを乗り越えてきた原体験かも知れない。障害や民族を理由に、いわれなき差別を受けてきた痛みだ。その中にあって自らの尊厳を輝かせ、前向きに力強く生きるウリハッキョの子供たちは、妹尾さんの言葉に心の耳を澄ませ、そのメッセージをしっかり受け止めることができるのだろう。

  「世代、民族、障害等を超え、生命の尊厳と心の大切さ、共に生きることの大切さを伝えてゆきたい。」

  今日、21世紀最初の講演を、千葉初中で開く。(姜和石記者)

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