BOOK/新刊から
☆「語りの記憶・書物の精神史」(米田綱路編著)
図書新聞紙上でインタビューした人々の語りをとおして、時代としての20世紀をふかんする。掘り起こされる日本列島の記憶、身体からつむぎだされる言葉の1つひとつから書物の内容や著者のモティーフのみならず、歴史と人間への省察というべきものが浮かび上がってくる。「イカイノ発コリアン歌留多」の著者金蒼生氏の言葉。「悲しい人間ほどよく笑うという言葉がありますけど、耐えるがために、もっと凝固されたものがあるんとちがうかなあ…」。(社会評論社、2500円+税) ☆「花のたね」(高奉淀童謡・童詩集) 長年、民族学校の教員として活躍してきた著者がこれまで、こつこつと書き綴ってきたものをまとめたもの。 「ノルティギ(板とび)」「こま」「ウリハッキョ にゅうがくする日」「開け統一門」など48編の詩が収められていて、そのどれからも、民族学校で日本の学校で学ぶ朝鮮の子供たちに少しでも自分の故郷を知り、民族の心をもって羽ばたいてほしいという著者の気持ちが伝わってくる。(問い合わせ=高奉淀、рO6・6417・0066)。 ☆「明日を拓く」―広がり根づくチュチェ思想(尾上健一著) チュチェ思想国際研究所事務局長を長年務めている著者は、本書の中で、昨年六月に行われた北南首脳会談の成功について、「自主性の時代をきりひらく歴史的できごと」だと指摘。6・15北南共同宣言についても、「過去南北でとりかわされた共同文書のなかでも最高水準の内容」と強調した。チュチェ思想研究者の観点から自主をキーワードに首脳会談の成果を分析しているのが目をひく。研究者必読の著。
(1800円、(株)白峰社、рO3・3983・2312
) 朝鮮で刊行されている2冊の小説「歴史の大河」(1997年刊)、「永生」(同)に記された朝米対話の過程を抜粋して紹介しながら、現代史のひとコマを克明に伝えている。まさに「秘話」にふさわしい数々の内容が網羅されている。 2冊の小説とも金日成主席や金正日総書記、クリントン大統領、カーター元大統領らが実名で登場し、実話も登場。編著者は在日本朝鮮社会科学者協会東海支部会長。 発行=「朝米秘話」刊行委員会。問い合わせ=рO52・732・7229 |