取材ノート
新しい世紀と節目の年
「21世紀に相応しい教育環境」「21世紀を目指した教育内容」「21世紀に羽ばたく人材育成」…。
ここ数年、民族教育関連の取材をしていてよく目にした「21世紀」という言葉。学校の新築や教育シンポジウムなどを報じた本紙の見出しにも度々登場したこの「21世紀」が、現実のものとなった。 新年から本紙8面下で、「同胞コミュニティー東西南北」という企画がスタートした。総聯支部や分会、昨年相次いで各地に設立された同胞生活相談綜合センター、また女性同盟、朝青、商工会、青商会、留学同などの各組織、朝鮮学校、そして文化・スポーツのサークルや同好会、福祉関連団体など、様々な同胞の「集まり=コミュニティー」の、今年の目標、計画などを紹介するものだ。 8日付の1回目では、今年迎える創立50周年に向け教育内容のいっそうの充実を図るという神奈川朝鮮初中高級学校(横浜市)を取り上げた。2回目で紹介した朝青福井県本部が今年の活動の柱に定めたのも、創立35周年を迎える北陸朝鮮初中級学校(福井市)を応援することだった。 今年、在日朝鮮人の民族教育は中等教育実施55周年を迎える。各地にある朝鮮学校のうち、半数近くが創立から何十周年、もしくは何十五周年という節目の年。各校では様々な記念行事を計画中だろう。 しかし、決して「お祭り気分」ではないはずだ。日本政府の差別、そして苦しい財政…。世紀が変わっても現実が急に変わるはずもなく、朝鮮学校の現状は決して明るいものではない。 節目は、これまでの1日1日の地道な活動、その歴史の積み重ねの上にある。節目の先にも、その積み重ねは続いていく。節目の年を、これまでの歴史を噛み締め、明るい未来を作っていくための大きな「きっかけ」にしたいというのが関係者の共通の願いだろう。(韓東賢記者) |