新世紀へ 民族教育を歩く

「三つ目」の意味


 ウリハッキョと言えば、朝鮮語と日本語のバイリンガル教育が大きな特色の1つだが、加えて21世紀の新たな試みがすでに始まっている。トライリンガルへの挑戦だ。

 昨年末、初級部と幼稚園における英語教育の取り組みを続けざまに取材した。10年前から初級部(2〜6年)の授業に英会話を取り入れている埼玉初中が、初のオープンクラスを催し、また兵庫の西播初中付属幼稚班が、4歳児からを対象に英会話教室をスタートさせたのだ。課外で初級部から英語を始めるケースがその他にもある。

 早期の外国語教育は、今や世界のすう勢で、グローバリゼーションの時代を勝ち抜くための必須条件という認識は各国共通のものとなっている。

 しかし、外国語を学ぶ目的、その意味は必ずしも実用性にだけあるのではない。土壌の異なる言語を学ぶことは、それぞれ異なる物の見方や考え方に触れること。母語を「私」に、2つめを「あなた」に、そして次を、第3者に例えるなら…「3つめ」を学ぶことは、多様な角度から物事を見るための素地づくりにつながる。それは、新しい世紀を生き、新たな時代を創っていく子供たちが、そのために必要な「力」を養っていく過程でもある。

 民族教育の要は、個々人の自我形成の核に民族的アイデンティティーをしっかりと据えることだ。が、その真価はむしろ、民族の枠を飛び越えたところでこそ発揮されうるだろう。トライリンガルへの挑戦は、民族教育の新たな地平を示している。(姜和石記者)

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