朝鮮・EU加盟国との国交ラッシュ

ドイツ、スペインも閣議決定

上半期中に13カ国へ

米の圧殺政策が破たん


EU議会も考慮促す勧告

 朝鮮は今月15日、オランダと大使級外交関係を結んだのに続いて、23日にベルギーとも国交を樹立した。これで、EU(ヨーロッパ連合)15ヵ国のうち、9ヵ国と外交関係を持ち、さらにスペイン、ドイツなど4ヵ国のEU加盟国との協商も大詰めにきている。こうした国交ラッシュは、米国の朝鮮圧殺政策に共同歩調をとっていたEUが、もはや対朝鮮敵視政策を放棄し、さらに大きな意味では、米国の対朝鮮世界戦略の破たんを意味する。

 今月18日、ヨーロッパ議会は「朝鮮とEUが正式に外交関係を樹立することを要請する」との決議文を採択し、その中で「まだ朝鮮を承認していないEU加盟国も北との外交関係樹立を慎重に考慮するよう促す」と勧告した。

 また、EU主要加盟国のドイツは24日に、スペインは15日にそれぞれ朝鮮と公式に外交関係を樹立することを閣議決定した。

 このほかにもルクセンブルク、ギリシアなどのEU加盟国との修交交渉が進められており、遅くても今年度上半期中には国交が樹立されると見られている。

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 朝鮮と未修交関係にあったEU各国は、ミサイルなど大量破壊兵器の放棄および人権の改善、北南対話の進展を関係改善の前提条件としてきた。これは、米国の対朝鮮政策の一環として提示されたものだ。
 しかし、ミサイル問題は、朝米間で交渉は進められているものの、朝鮮がミサイルの開発、配備を放棄した事実は一切ない。朝米交渉が進められている間、発射実験を見合わせるというだけだ。

 つまり、EU加盟国は、米国との協調で持ち出した前提条件を取り下げて朝鮮との修交に踏み切ったわけで、朝鮮を圧殺するという米国の対朝鮮包囲網の一角が崩れたことを意味する。

 さらに、EU加盟国のうち、イギリス、ベルギー、オランダ、ルクセンブルク、フランスの5ヵ国は、朝鮮戦争で兵を派遣した国でもある。

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 EUが朝鮮との関係改善へと政策を転換した要因の1つには、米国の対朝鮮政策の変化がある。一昨年9月に提出されたペリー報告書がそうだ。米国の対朝鮮政策を包括的に統合して進めるべきだとする同報告書の特徴は、朝鮮が崩壊しないと結論づけたことにあった。

 これによって、EU加盟国が朝鮮との修交に向けて動き出したのだが、それは単に朝鮮が崩壊しないというだけではない。冷戦終結後の新しい世界秩序形成の中で、EUが独自の道を歩みはじめたことと関連する。

 その一例が、ユーロ通貨の誕生だ。それまで世界の基軸通貨となっていたドルに対してユーロ通貨圏を登場させることによって、米国の経済戦略からの脱却、ひいてはドル通貨圏に対抗する勢力になることが可能となった。

 その上でどうしても欠かせないのが、アジアとの関係で、したがって東アジアの中心に位置する朝鮮との関係改善は、必要不可欠な問題だった。事実、新義州とソウル、元山とソウルを結ぶ鉄道がそれぞれ復元されれば、それはEUに非常に大きな経済的メリットをもたらすと言われている。

 労働新聞など3紙の今年1日付の共同社説が、「自主の旗を固守していく朝鮮は世界政治の焦点となってきた。われわれの強硬で原則的なたたかいによって帝国主義者の孤立・圧殺策動は失敗を免れなかった」と強調しているとおり、もはや朝鮮は無視できぬ存在になっているのだ。(元英哲記者)

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