「株式」 初歩の初歩


 「NYダウ250ドル安、大手銀行損失のうわさで金融株を中心に下落が加速」。新年早々、日本経済新聞にこのような内容の記事が掲載されました。米株価の下落に日本もひきずられました。株価が下がると金利は上がる図式なので、利ざやが減る銀行は対応に四苦八苦。長引く不況による消費の低迷で、どこの会社ももうからず、平均株価も下がり続けているのが日本経済の現状です。ところが、「○○社の株が上がった、下がった」と唐突に言われても、意味が良く分からない人は少なくないはず。そもそも「株」とは何を指す言葉なのか、株式市場では何をするのか、株価が動くのはどういう仕組みなのか。「株」について初歩の初歩から学んでみましょう。

「株」って何?

会社が保証する「分け前」/買った人は「株主」、証明に「株券」

 新しく会社を作って仕事を始めるには、場所の確保や人件費など、たくさんのお金がかかります。前もって準備したお金だけでは足りないかもしれません。

 そこで、「もし会社がもうかったら、もうけた分だけ分け前をあげるので、お金を出してください」との約束で、会社を作る援助をしてくれる人を募集します。お金を出してくれた人には、その証明として、金額分の証明書を渡します。

 この「分け前」のことを「株」または「株式」と言い、株にお金を出した人を「株主」、お金を出したという証明書を「株券」と言います。そして、このように、株を発行して集まったお金で仕事をする会社を「株式会社」と言います。

 株式会社がもうかれば、株主は出した金額に応じて「配当金」をもらえるほか、会社が自社製品やサービスを無料で配る「株主優待」も受けられます。

 ちなみに、株式は「株を買った人の持ち分」という意味ですが、一般的には株も株式も同じ意味で使われています。

 株式会社は株主が出したお金で会社を経営するので、年に1回、株主に対して会社の経営状態や方針などをきちんと説明する義務があります。この説明会を「株主総会」と言います。

「株式市場」は何する所?

証券会社通じ売り買い/証券取引所などで値付け

 株を買うといっても、その会社に買いに行くわけではなく、いろんな会社の株から欲しい株を選んで、仲介役である「証券会社」を通じて買うことになります。逆にもうけに応じた配当金をもらう場合も、証券会社を通じて市場に買い取ってもらいます。この、株を売り買いする場所が「株式市場」です。

 株の売り買いを実際に行うのは「証券取引所」です。日本国内には計6ヵ所あります。

 東京、大阪、名古屋の主要三ヵ所は、会社の規模や株価の高さによって「一部(市場)」と「二部(市場)」に分かれており、通常は二部から入って、一定の条件を満たすと一部に昇格できます。新興ベンチャー企業のための市場として、「マザーズ」(東京)や「ナスダック・ジャパン」(大阪)もあります。

 証券取引所とは別に、日本証券業協会が管理する「店頭市場」もあります。証券取引所を通さずに、会社側と株を買う人が証券会社で一対一で売り買いをする市場のことです。

 【参考文献】「『株』『投資信託』『外貨預金』がわかる 基礎の基礎講座」(講談者)「ネコでもわかる株入門の入門」(中経出版)「最新版 入門の入門 株 のしくみ」(日本実業出版社)

なぜ上がり下がりするの?

有望なら「価値」上昇/「平均株価」データに判断

 株とは、会社がもうかった時の分け前ですから、会社がもうかれば、その分、配当金も多くなります。もうけが多く見込める会社の株は、値段が高くてもみな欲しがるので人気が集中し、その株の価値、すなわち「株価」(株の値段)はぐんぐん上がります。これが「株価が上がる」仕組みです。逆に、会社がもうからなければ、株を持っている価値が下がる、つまり「株価が下がる」のです。

 株の売買は銀行の金利に大きく左右されます。株主が分け前を多く得るには当然、株を安く買って高く売ることになりますが、株を大量に買うには、銀行から資金を借りることになるためです。高い利子が付いたうえに株価が下がって大損するリスクもあるのです。

 今後、成長が見込める会社を見抜く目が必要になります。その際に参考になるのが「平均株価」です。

 日本では通常、日本経済新聞社が発表する「日経平均株価」が使われます。東京証券取引所(東証)が扱う225銘柄(会社)を対象にしたものです。東証が発表する「TOPIX」(トピックス)も、平均株価の一種です。

 新聞で目にする「ダウ」(ニューヨークダウ)は、米ダウ・ジョーンズ通信社が米国30銘柄を対象に発表する、米国の平均株価です。アジアでも、南朝鮮が「総合株価指数」、シンガポールが「ストレイト・タイムズ指数」など独自の平均株価を持っています。

私たちも買えるの?

「パック売り」が原則/新聞の株式欄、常にチェック

 もちろん、私たちも株を買うことはできます。株は、証券会社に行って、買いたい会社を指定して買います。売る時も同様です。

 株は、一株だけ買うということはできません。「単位株」というパック売りが基本だからです。

 日本には、株を買う際に、株券に書かれた金額の合計が5万円になるように、取引の単位をまとめる制度があります。例えば、一枚の額面が50円なら1000枚で計5万円、500円なら百枚で計5万円になます。この「1000株」「百株」が、その会社の最低限の「単位株」です。ただし、一定の基準を満たして単位株を小さくする例外もあります。

 どこの会社がもうかりそうか。それを調べる際の強力な助っ人が、新聞の「株式欄」です。

 株式欄には、平均株価と会社ごとの株価が「始値」「高値」「安値」「終値」「前日比」の順に載っています。前日比の横の「△」は、前日より株価が「上がった」、「▼」は「下がった」、「○」は「変わらない」という意味です。単位株が違う会社には「A」(百株)など印が付いています。

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