春・夏・秋・冬

 仕事の関係で、出版社に勤める人々と会うことがある。会話の中で、彼らが決まって口にするのは出版業界の不況である。書籍販売の不振、雑誌休刊、給与・賞与削減、人員縮小、社屋売却などの話を聞き、身につまされる思いをしたこともしばしばであった

▼統計によると、出版の売上はここ3年連続マイナス成長である。それと相まって書店の経営も苦しく、とくに中小は転廃業に追い込まれているのが多い。日書連によれば、加盟店数は90年の1万2359店から99年は1万店を割り込んだという

▼むろん成功している例もあるが、そのほとんどは広告依存体質(ちなみに新聞社の総収入に占める広告収入の比率は44.8%、販売収入の41.2%より高い)の故に、バブル崩壊後、息の根を止められたものが多いという。書籍の売れ行き不振の打開を雑誌に求め、さらに内容ではなく広告収入に活路を開くという構造に身を任せてきたことが、不況の原因だと言われている。頼みの綱はパソコン関連書ではないかと聞いてみたが、そうではなかった。「新しいソフトが2年サイクルで出されるので、一部のヒット商品以外は、投資倒れになっている」のが実情という

▼それでも、生き残るために、いろんな企画をたてて、きちんとした出版物を出そうと努力しているところもある。時流に乗ることなく、残るような本づくりを心掛けている人もいる

▼が、ある同胞経営者は「『国民の歴史』という本がベストセラーになるんじゃ、やる気が起こらないよ」と嘆いていた。(舜)

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