春・夏・秋・冬

 昨年、「第三国人」発言で在日社会はもとより、外国人、そして各界から激しい批判、発言の撤回を迫られた石原都知事。その資質は、何も近年になって形成されたものではない。かつて、国会議員時代から国粋主義を柱とした「青嵐会」なるグループの中心的存在として活動し、その発言、行動が問われ続けてきた

▼「国粋主義イコール反米」を売り物に著書も多いが、スイスで開かれているダボス会議に招かれ、「グローバルスタンダード(世界標準)はアメリカンスタンダード(米国標準)ではない」と米新政権に噛みついた。字面だけで理解すると、まさにその通りである。が、そこは海千山千の人物。案の定、「ら致」問題に言及して「日本は自分の国民を守るために、ミサイルを搭載した艦船を配備すべきだ」と吠えた

▼「ら致」で「ミサイル艦船配備」とは、それこそ短絡的な「ジャパニーズスタンダード」以外の何物でもない。「ら致」事件を騒ぐのは日本の独断であり、客観性はまったくない。事実でなく虚構そのものなのだ

▼和田春樹・東大名誉教授は月刊「世界」1、2月号で、「ら致」問題のてん末を細かく総合的に整理・分析し、結果、都合の良い部分だけをクローズアップした作品に過ぎない、と結論づけた

▼家族たちを巻き込んで、あれほど騒いできた火つけ役の石高・朝日放送記者や、彼と脈を通じている「現代コリア」グループがどのような反応を示しているのか、今のところ、寡聞にして知らない。しかし、リアクションが欲しいと思うのは筆者だけではないだろう。(彦)

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