金基哲・朝鮮コンピューターセンター副技師長の講演
ソフト開発の現況と展望
金基哲・朝鮮コンピューターセンター副技師長は9月25日、都内のホテルで行われた朝鮮情報技術セミナー(主催=朝・日輸出入商社、潟fジコソフト)で、「朝鮮民主主義人民共和国におけるソフトウェア開発の現況と展望」と題して講演した。以下、その内容を紹介する。
ネットワーク まず、朝鮮の全国的なコンピューターネットワークについて話したい。 朝鮮では過去、電話線を利用したネットワークを形成してきたが、1980年代以降は光ファイバーによる全国的なコンピューターネットワークを形成。各省、中央機関、大学、研究機関では、ネットワークを通じて情報データベースにアクセスできる。 また、各機関、一般の企業所内でのネットワークの構築と経営業務の情報化も行われている。 一部の大学ではネットワークを利用した講義、研究討論会が行われている。 人材育成 朝鮮では21世紀を情報時代と規定し、ソフト開発に国家的な力を注いでいる。 そのためには、IT(情報技術)専門家の育成が重要であり、大学、科学研究機関、果ては中学校に至るまで、コンピューター技術者を育成するための教育システムを整え、人材育成に力を入れている。 大学などにはソフト開発のための学部、学科を新設した。また、若いうちから人材を育てるという見地から、中等教育機関においても情報教育を実施し、専門エンジニア育成コースを設立した。 エンジニア再教育のための講習所も作られ、この分野で実際に働く人々が、自己の技能をより高めるためのシステムも構築されている。 実際の開発 朝鮮では、各省、中央機関、各道、科学研究機関、大学などにソフトウェア開発センター、チームを設置し、ソフトウェアを専門的に開発している。 そして、ソフトウェア開発を奨励するため、年に1〜2回の割合で全国的なソフトウェアコンテスト・展示会を開き、優秀なソフトウェアを国家的に表彰している。コンテストには800〜1200人が参加。400〜600件のソフトが出展される。 これまで開発されたソフトは軽工業、重工業、医学、スポーツ、レクリエーションなど幅広い分野に及ぶ。とくに、将棋ソフトは6月に日本で行われたソフトウェアコンテストで3位になった。 多言語電子辞典ソフトは、多言語を朝鮮語に翻訳できるソフトだ。医療分野の診断予想システムは、諸外国でも導入されるなど高い評価を得ている。 外国との交流 朝鮮では米国、日本、中国、南朝鮮、ドイツ、台湾などと連携して技術開発を行っており、中国、ドイツ、日本、南朝鮮、シンガポールなどからの委託開発も行っている。 また、米国、日本、中国など諸外国の優秀な専門家を招き、技術セミナーなどを開催している。 今後は諸外国との提携のもと、ソフトウェアを開発して国際市場にも積極的に進出していきたい。 |