友よ!
君は祝電を送ってくれたな
私の還暦を祝うと
けれども友よ
還暦はもうたくさんだ
気のおけない
親友をよび
マッコルリ一杯ぐらいはやろうと思っていたが
誤解をするなよ
私が還暦祝いをしないのは
時間がなくてじゃないんだ
貧しいからでもないんだ
私はいままで
誕生日を祝ったことがないんだ
両親の愛情の下1歳の誕生日はやったかも知らないが
物心ついてから今日のこの日まで
そう、友よ
あるじをなくした犬のように
あちこちと追われ
生まれた日付さえ忘れてしまった私が
今になってなんの祝いをするというのか
(略)
私は息子たちにも言った
還暦だ祝いだなどやめろと
祖国が一つにつながった日
ふるさとに行って還暦祝いをうけると
(略)
友よ
還暦の祝電をうってくれた優しい友よ
この体いちどさめてしまえば
あの沈黙する山の中にさみしく埋もれ
二度と君の手を握ることはできないし
二度と君の祝電を受け取ることもできないが…
鄭和欽詩集「念願」1985 収録(訳・全佳姫)
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