取材ノート

同胞青年たちのカリスマ


 9月24日、横浜アリーナで行われたWBC世界スーパーフライ級タイトルマッチで、見事に3度目の防衛に成功した洪昌守選手。

 今回、初めての世界戦を、それもリングサイドで観戦しながら取材した。世界戦をこんなに間近で観戦できるなど、一生に一度あるかないかである。それだけに気合いが入った。

 「今日の試合ほどひやひやさせられた試合はなかった。昌守は冷静さを失わず、最後までよく戦った。これも同胞たちの応援があってこそ」と洪選手のオモニが語るように、危ない場面も何度かあったが、洪選手の気迫と同胞応援団の声援が一つになり、つかみ取った勝利だった。

 約5000人の同胞が駆けつけた会場には、やはり同胞青年の姿が目立った。2つの拳で世界の頂点へ。若者なら誰もが一度はその姿に憧れる。チャンピオンになってもおごり高ぶらない洪選手の姿に、同胞青年たちは共感するのだろう。

 今回、取材を通して3、4世の同胞たちが一つに集まる場が本当に必要だと感じた。同胞社会とは無縁の生き方をする同胞青年たちが多いなか、求心点となれる洪選手のような「カリスマ的存在」はとても重要だ。

 「洪昌守」という本名でリングに上がる。勝利の瞬間、統一旗を掲げ、「われらの願い」を歌い、そして「We  are  one!」と叫ぶ。今では写真集発行、雑誌の表紙を飾ったりもする洪選手。若い世代の同胞たちは、洪選手の姿を見て何を思い、感じているのだろうか。

 洪選手の民族に対する思いが「ボクシング」を通じて、多くの同胞青年たちに伝わっていれば、これほどうれしいことはない。

 同胞青年たちの民族に対する大きな思いが、これからの同胞社会を豊かにしてゆくはずである。

 4度目の防衛戦に向けて、練習に励む洪選手。これからも同胞青年たちに感動と勇気を与える「カリスマ」であってほしい。(c)

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