「米国の干渉許さない」

朝鮮の平和プロセス  民族自主の成果、内外にアピール


 「米国は再び北南対話にブレーキをかけてはならない」。朝鮮中央通信は先月、6カ月ぶりの北南当局者会談再開に関する論評でこのように主張した。米国の同時多発テロ事件と関連して朝鮮は「すべての形態のテロとそれに対するどのような支援にも反対」(9月12日、外務省スポークスマン)する立場を表明したが、自国の統一と安全保障問題では米国の圧力と干渉に反対し、民族自主の原則を強く主張する姿勢を示している。

半年ぶりに北南対話再開

 朝鮮はニューヨークとワシントンで大規模テロが起きた翌日、外務省スポークスマンが朝鮮中央通信社記者のインタビューに答える形で「すべてのテロに反対」する自国の立場を表明した。国内のマスコミは、テロ事件に対する米国の軍事的報復が今後の情勢に与える影響を憂慮するとの国際世論などを紹介しているが、基本的には事態の推移を客観的に報道することに徹している。

 現在の段階では、米国の行動を注意深く見守る姿勢を堅持しているといえるが、今回の大規模なテロ事件が国際社会に与える衝撃は計り知れない。米国の強硬路線が朝鮮半島情勢に与える影響などを含め、今後の展開は予断を許さない。

 朝鮮は9月2日、中断されていた北南会談の再開を提案した。南朝鮮もこれに応え、15日からの第5回閣僚級会談開催が決まったが、北南が会談準備に追われていた時期に米国のテロ事件(11日)が起きた。

 13日、北側は会談に先立ち「和解と団合、統一に実質的に寄与する会談になることを望む」との談話(祖国平和統一委員会スポークスマン)を発表した。談話は「過去6カ月間の教訓は、外勢の干渉を許せば良好な北南関係も一瞬にして悪化するということ」を証明したと指摘した。北南会談の直前に北側からこのようなメッセージが発せられるのは異例のことである。

 米国のブッシュ政権は、自ら「ならず者国家」のらく印を押した北に対して対決姿勢で挑み、6.15共同宣言発表を機に本格化した北南和解の流れにブレーキをかけた。その結果、3月に予定されていた第5回閣僚級会談が延期される事態となった。

 米国は、今回のテロ事件に対する軍事的報復作戦を強行する構えである。「テロリスト根絶」を旗印に大国主義的な強硬路線が拡大の様相を呈しているが、朝鮮は北南対話再開を機に「大国の介入こそ対立と紛争の元凶」との立場をいっそう明確に示した。

 事前の談話発表である程度予測されたことであるが、閣僚級会談に北は積極的な姿勢で臨んだ。半年間の空白があったにもかかわらず、北南間で意義のある合意がなされた。

国連総会で大国主義批判

 再開された当局者会談で南側は「テロ反対宣言」の共同採択を持ちかけたが、北側は民族内部の話し合いで取り上げるテーマではないとし、統一問題における民族自主の原則を再三にわたり強調したという。

 「米国は北南対話に再びブレーキをかけてはならない」。北南対話再開後に発表(9月28日)された朝鮮中央通信の論評も従来の原則論の単なる繰り返しではなく、急変する内外情勢を見据えた対米メッセージとして読める。

 今回のテロ事件の原因は、冷戦後「唯一の超大国」となった米国の一方的な対外政策にあるとの指摘がある。朝鮮は一極化世界をもくろむ大国の論理に自主権の概念を対抗軸として打ち出している。

 9月末、国連総会で演説した朝鮮代表は「今日、国家の自主権に対する侵害行為が横行し、多くの紛争は外部の干渉によって解決がいっそう困難な状況に陥っている」との見解を述べた。米国の対外政策を念頭に置いたものであった。

 「大国の強権行為は黙認され小国の自衛的措置は制裁と圧力の対象になっている」。朝鮮代表は「大国が紛争問題を支配主義実現のため利用することのないよう国連が最大の関心を払うべき」だと主張した。

 昨年、国連のミレニアム総会では北南首脳会談と6.15共同宣言を支持する共同議長声明が発表され、国連総会決議も採択された。北南朝鮮は6.15共同宣言の精神に基づき、今年も案件―「朝鮮半島の平和・安全・統一」を共同で提出した。

 6.15共同宣言は、大国の論理に従属しない独自の平和プロセスを可能にした。テロ報復作戦に見られるように米国は他国に対して再び強権を発動しようとしているが、朝鮮は自主統一に向けた確かな歩みを内外にアピールすることで米国の対朝鮮政策の転換を強く迫っている。(金志永記者)

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