本社記者平壌レポート
統一の熱気に包まれた夏
生活水準向上へ一丸
2001年民族統一大祝祭に参加する南と海外の代表を歓迎する平壌市民 | 市民により多くの肉と卵をと、工事を急ぐ建設者たち(万景台鶏工場) |
6月中旬から9月中旬までの平壌滞在期間、コンピューター操作の基礎食品工場が竣工したり、クムソントラクター工場で新型のトラクター試作品が完成するなど、明るいニュースが次々と伝えられた。市民の生活水準はまだまだ回復はしていないが、「苦難の行軍」を乗り越え、活発に繰り広げられてきた「経済強国建設運動」が実を結び始めている、ということを実感した。
「珍しい現象」 高層住宅がならぶ統一街に住んでいる市民たちによると、頻繁だった停電が最近はほとんど起きないという。夜、取材の帰りに時折この一帯を車で通る事があるが、同伴している平壌支局のスタッフはそのたびに、「街全体が明るくなった」という感想を口にしていた。 平壌市全体をみても、停電は現在「珍しい現象」になりつつある。電気がきてあたりまえになった今、ごくたまに停電になると、市民たちはテレビが見られなかったとか、家事ができなかったと嘆く。以前、聞かれなかったことだ。 今年、元旦に発表された新年の共同社説は「21世紀経済強国建設の新たな進撃の年として輝かせよう」というスローガンをかかげた。この呼びかけに応えて、全国的に生活水準向上のためにエネルギー、食糧問題の解決――工場の設備を補修修理したり一新する作業が力強く行われてきた。 国家計画委員会では、来年4月15日の太陽節までに生活水準を向上させようと各道の鶏工場、ヤギ牧場、基礎食品工場、靴工場などを整備、フル稼働させていくという。平壌にある5ヵ所の鶏工場の補修拡張工事は、その一環だ。 「完成して鶏が増える来年2月頃から、市内の各家庭に1ヵ月に60個の卵と鶏肉1キログラムが供給されるんです。もちろんわが家にもね。楽しみです」 満面に笑みを浮かべキム・ビョンゴンさん(48、同工場の内装作業担当)は、「今回の工事は、大々的なものだ。苦難の行軍を経験した私たちは、実際に工事をしながら、強盛大国の新時代が到来していることを肌で感じている」と語った。 「ゆく道険しいけれど笑って行こう」「未来のためにもっともっと汗を流そう」――。 6年間続いた最大の試練を乗り越え、自信に満ちた市民は、市内のいたる所に掲げられているこのスローガンを心の中で叫びながら、もうひとつの峠を越そうと、意気揚々としていた。 本格的な運動 6.15―8.15民族統一促進運動期間、平壌は統一の熱気につつまれた。 金剛山での民族統一大討論会、北南農民統一大会、平壌での北南共同写真展示会、2001年民族統一大祝祭などのイベントが行われ、朝鮮民族がひとつであることをアピールした。 農民統一大会に、15人の代表が参加した沙里院市嵋谷協同農場。残った農民らは大会の模様を録画中継するテレビの前に、みな釘付けだったという。 大会に参加したキム・ドクオンさん(45)は、「帰ってきてすぐに報告集会を開き、テレビでも放映されたし、大会のことは村の人たちみなが知っているはずなのに、毎日のように私たち参加者の家を訪ねて来ては、そのときのことをもっと具体的に話してくれと言うんです。いつの間にか子どもたちまでも、大会であったささいな事まで知るようになりました」という。 こうした盛り上がりの中で、平壌で北・南・海外同胞の参加のもと、2001年民族統一大祝祭(8月15〜16日)が開幕した。 数万人の市民が朝早くから、南と海外の代表団を迎えるため沿道に出た。入場行進の予定時間が8時間あまり遅れたが、市民は太陽の照りつく猛暑にもかかわらず、その場を離れず待った。 その姿を目の当たりにした南のある代表は、「涙があふれてきた。自分たちのせいで迷惑をかけてしまったのに、あんなに温かく迎えてくれるなんて。平壌市民の統一の熱意が伝わってきた」と話していた。 統一大祝祭では、開閉幕のセレモニーをはじめ多彩なイベントと、労働者、農民、女性など、各層の部門別会議が開かれた。自分たちの団体の性格に見合う、今後の運動を展開するための、具体的な論議がかわされた。参加者たちは「われらが統一の主人公」「本格的な運動がはじまる」と自負に満ち、期待感を隠さなかった。 そして9月上旬、北南閣僚級会談の再開が発表された。市民はそのニュースを食い入るように見ながら、統一に向かう共同宣言の履行に新たな転機がやってきたことを実感していた。(姜イルク記者) |