第1歩に「確かな実感」
下関ムジゲ会初の親睦会
6月に結成された「下関ムジゲ会」が9月30日、下関朝鮮初中級学校で親睦会を開き、障害者とその家族をはじめ同胞、日本の養護学校教師ら40人が参加、焼肉を食べながら交流を深めた。同胞社会で障害者に対する理解を深めようと、結成後初めて開いた行事だ。
県内の同胞障害者に呼びかけ 「下関ムジゲ会」のメンバーは障害児を育てる母親たちで、娘の姜仁愛ちゃんが70万人に1人と言われる難病「コルネリア・デ・ランゲ症候群」の障害を持つ崔玉貴さん(40)、息子の李賢守さん(16)が自閉症の金辰美さん(40)、息子の李竜禎くん(5)が肢体不自由の李貴美さん(41)だ。 山口県にはメンバー以外にも聴覚障害を持った朝高卒業生や家から1歩も出たことがない同胞障害者がいるが、根強く残る偏見などから、同胞との交流は少なく、ムジゲ会への参加も見合わせている。 今回、彼らに参加を呼びかけた結果、親睦会には自閉症の障害を持つ盧徳治さん(20)が弟とともに参加。1時間だけの参加だったものの、崔さんに「楽しかった」との感想を残して帰っていった。 会が結成されることで少しずつだが同胞障害者の輪が広がっている。参加できなかった同胞障害者が「次の機会にはぜひ」と答えてくれたことにもメンバーは確かな手応えを感じていた。 13日には下関初中で交流行事 この日の親睦会は、障害者を育てる家族と地域の同胞が「障害者に対する理解を広げる」という目的のもと、ともに協力し合う空間となった。 同胞らは朝から学校の炊事場や運動場で焼肉の準備に精を出し、メンバーを激励しようと様々な差し入れを寄せた。また、朝青山口・下関支部をはじめ多くの同胞がボランティアとして参加。障害児に付き添いながら、話をしたり遊ぶなどして彼らに楽しい時間を提供した。 金剛保険山口支社に勤める崔成虎さん(27、朝青下関支部副委員長)はこの日、自分よりひと回り年下で自閉症の李賢守さんに付き添った。 障害者と触れ合うのは初めての経験だったが、手をつなぎ、懸命に話しかけていた。また、焼肉を囲みながら難病を抱える仁愛ちゃんの父、姜吉彰さん(43)の話にも聞き入り、障害者を育てる親の思いにも触れた。 「今日体験したことを朝青のみんなに伝え、次回の集まりにはもっと多くの仲間とともに参加したい」(崔さん)。確かな「実感」を手にしたようだ。 親睦会への参加を同胞たちに広く呼びかけ、普段からもムジゲ会への関心が高い総聯下関支部の韓朝男さん(48)は、「障害者を育てる親にしかわからない苦労があるだけに、われわれ『外野』が出来ることには限界があるかも知れない。しかし、精一杯協力したい」と噛みしめるように語る。 ボランティアとして参加し、終日障害児とたわむれていた趙真珠さん(46)は、最後に全参加者に力強く呼びかけた。 「障害者の問題は決して人事じゃない。みんなでムジゲを支えていこう」 親睦会では下関初中で13日、同校の低学年児童と同胞障害児の交流会が開かれることも報告された。今まで同校は、オモニ会や障害児の家族の協力のもと、市内の障害者施設との交流などを試みてきた。 この日の行事も学校の全面的な協力によって実現。交流会の責任者を務めることになった同校の全泰善教員(29)は、「障害を持った子供との交流を通じて他人を思いやる気持ち、豊かな感性を育てていきたい」と意気込んでいた。(張慧純記者) |