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昨年11月、毎日新聞のスクープによって明らかになった「旧石器発掘ねつ造」事件。「旧石器」は日本古代史における「世紀の発見」といわれ、80年代半ばごろから東北地方を中心に続々と発掘。中心人物の研究者の手は「神の手」とまで形容された
▼米国の空爆の開始、そして地上軍投入もささやかれる中、各紙とも地味な扱いではあったが、その研究者の手による「秩父原人」もねつ造であったことが正式に確認された ▼「神の手」は、掘り出す予定の遺跡の土中に事前に縄文時代などの石器を埋め、それを公衆の面前で改めていとも簡単に掘り出し、次から次へと「世紀の発見」を行っていった。毎日新聞がスクープに至る全容をまとめた「発掘 捏造」によると、「江戸時代に電卓があるような」石器の発見に、一部の研究者、専門家たちは首をかしげ、中には真正面から反論を試みた学者もいたが、世紀の発見に水を差させないという周囲の空気にかき消されてしまった ▼同時に疑問の声をシャットアウトしたのは、「実物をもとに研究する許可を得て、それに対して直接検討した結果を論文にしたんじゃないと認められない」という厳格なルールだった ▼独断、偏見、無知にもとづく報道が大手を振るマスコミ界にあって、それほどのルールが存在したなら、内外の朝鮮報道は公正さを保たれていたかもしれない、と自問しきりだ。そういえば、渦中の「ビンラディン」と朝鮮の関係をうんぬんする米国務省文書に言及した一部の報道、これも「神の手」のたぐいとは、米国通の友人の話だ。(彦) |