くらしの周辺

北欧の国際貢献


 やっと過ごしやすい季節になった。今年の夏はスイスに行く用があり、ひとときの「避暑」を期待したのだが、スイスも例年になく暑く、クーラーが無い部屋で寝苦しい夜を幾晩か過ごしながら地球温暖化を実感する羽目となった。イギリス人のNGO活動家は、ある山を指さし、「去年までは夏でも山頂部は雪をかぶっていた。でも今年は雪が見えない。ブッシュに山頂まで登らせ、よく見せねばならない」と冗談めかして言っていた。

 現在、二酸化炭素の排出制限を定めた京都議定書はブッシュ政権や、ホスト国として面子を捨てても米国にはもの申さない小泉政権という「抵抗勢力」によってその効果が危ぶまれている。この議定書に至るプロセスにおいて、非常に大きな役割をしたのが、ノルウェーでかつて首相も務めたブルントラント女史。現在、WHO(世界保健機構)の事務局長を務める彼女は、80代の首相当時、国連の「環境と開発に関する世界委員会」の委員長に抜擢され、そこで「持続可能な発展」という概念を打ち出す。大まかに言うと、次世代も繁栄を享受できるような発展を考えようという意味だ。そういえばノルウェーでは木を1本切り倒せば必ず1本、植林することが義務づけられているという。

 人権問題や平和活動といった分野でも北欧国の話はよく出てくる。日本も北欧国のような国際貢献の仕方を模索すべきであろう。そういった国際貢献なら憲法を曲解する必要もないのだから。(金東鶴)

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