取材ノート
信頼が問われる北南関係
先日、取材の折に、6.15北南共同宣言のことが話題になった。発表から1年4カ月が過ぎ、紆余曲折はあるものの北南関係は敵対関係から和解と交流・協力、そして自主的平和統一に向け歩き出していることは誰もが否定できないと思う。
話の焦点になったのは、共同宣言の終わりにうたわれている、「金正日国防委員長のソウル訪問」問題。 共同宣言を履行するための閣僚級会談が5回にわたって開かれ、その合意に基づく各分野の対話、離散家族・親せきの相互訪問などが行われた。 しかし、共同宣言の5項目は完全に履行されたわけではない。いうまでもなく、各項目を履行して行けば、北南関係を発展させ、平和統一を実現するうえでの土台が築かれる。 国防委員長のソウル訪問がまだ実現していないのは、共同宣言の最後にうたわれていることからすると、5項目が完全に履行され、統一に対する機運がよりいっそう高まり、そのことを明確に全民族と国際社会にアピールできる水準に到達してこそ可能ではないか、という結論になった。 そのためには例えば、5、6、7月に金剛山で行われた南北の労働者、農民、民間交流などが継続、定着することが望ましい。こうした民間交流の積み重ねが、政府レベルの対話をさらに発展させるバネになるからだ。 10月28日から予定されていた第6回閣僚級会談は、開催地の問題で延期となっている。金剛山での開催を主張する北に対して、南が拒否している。これまで会談が平壌とソウルでそれぞれ2回、済州島で1回行われていることからしても、北の主張は当然であろう。 こうして見ると、共同宣言は相互の信頼関係があってこそスムーズな履行が可能となり、その先にソウル訪問もあるのだろう。南側の決断が求められている。(基) |