それぞれの四季

平和への知恵

金春正


 やはりという予想通り米国は「報復戦争」を始めてしまった。「テロ」を戦争ととらえ、復しゅう心を動機にした戦争の発動は質的にはテロと何ら変わらないはずだ。

 世界でもっとも金があり、武力を備えた国々がよってたかって人口約2千2百万人のうち3分の1以上が飢餓で苦しみ、マイナス25度にもなる冬を前にしたアフガンを連日爆撃している。

 ミサイル1発があればアフガン難民数万人が食べられ、医療を受けられるというのに、高価なミサイルを何百、何千発も連日撃ち込み続ける愚行。世界を終わりのない憎しみへと追いやるだけにしかならないという事をどうして分かろうとしないのだろうか。心が重くなる。

 ましてテロに便乗して親米姿勢を露骨にさらけ出している日本という国に住んでいることがさらに憂うつな気分にさせる。侵略戦争を起こし、原爆を体験し、戦争に負けたという特異な体験を持つ日本という国は日本だけにしか生み出せない平和への知恵をアジアの一角から世界へと発信すべきである。

 しかし、反テロ感情を巧みに利用しテロ対策に名を借りた「自衛隊参戦法案」や「自衛隊法改正案」を強行に成立させたのである。テロに乗じて彼らがもくろむ本当の目的が朝鮮やアジアへの有事派兵だという事はあまりにも明白である。

 米国から見える風景を唯一の風景と錯覚せぬよう、米国と一緒に怒り、悲しむだけの発想と価値観の押しつけを拒否して、世界の多くの人々が米国になぜ反発し、憎むのかを冷静に考えていきたい。
(生涯学習振興公社非常勤職員)

日本語版TOPページ

 

会談の関連記事