私たちのうた

楊明文


銀杏  散調

 銀杏の木のしたに
 きいろい音符たちが落ちる

 銀杏の葉っぱに
 私はかわいらしい言葉を書いてみた

 書き込んだ言葉は
 どうしてなかなか黄色い発音

 桔梗、イカル(斑鳩)、杏のたね、
 どんぐり、アメンボ、きのこ、
 つむじ風、みかん、うさぎのフン

 初霜おりた晩秋の夕べ
 こんもりつもった銀杏の葉っぱは

 いきなり吹いてきたつむじ風に運ばれて
 ひとつひとつの音符となって舞い上がり
 夕焼け空に和音をひびかせ…

 ひらひら ぺちゃくちゃ ふわふわ
 くにゃくにゃ ひらひら きいろい 蝶の群れ

 苦しみもがいた記憶はきれいさっぱり払いのけ
 晩秋の空に腕をひろげてそびえ立つ

 ああ、銀杏の木のうら悲しき散調!

 ヤン・ミョンムン  1913年生まれ。詩集「華愁園」(1940)で文壇デビュー。「韓国の名詩」収録。(訳・全佳姫)

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