現場から−金洋恵(女性同盟愛媛県本部委員長・51)

活発な20,30代  希望の芽、育つ喜び

24日、手作りのオリニフェスタ


 四国朝鮮初中級学校(愛媛県松山市)は11月1日、創立56周年を迎えた。祖国解放の年に産声を上げた四国初中は、四国の同胞たちに夢と希望、喜びを与え、多くの人材を送り出してきた。

 しかし、選択肢の拡大、同胞数の減少、民族意識の希薄化、財政難などさまざまな要因により生徒数は減少、同校は厳しい現実に直面している。これは、10、20年後の四国同胞社会の未来を左右する重大な問題だ。

 私は、新しい世代の民族性を育むことが女性同盟の使命だと思っている。四国初中を守っていくために何ができるか?  何をしなければならないか?

 女性同盟愛媛県本部では7年前、活動の対象を20、30代中心に定め、以来彼女たちが集まれる場を作ることや人材の育成にスポットをあてた活動を続けてきた。

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 当時、愛媛では希望の種がまかれつつあった。

 同胞数の少ない県内だけに目を向けるのではなく、県外まで視野に入れた出会いの場作り、結婚あっせん事業に力を入れた結果、同胞同士の結婚が増え、民族教育を受けた女性たちが他県から愛媛県内にたくさん嫁いでくるようになった。

 彼女たちを大切にして女性同盟の主役に押したてていけば、地域も活性化し、何よりその子供たちが通うことにより四国初中の生徒減少が食い止められる――。そう思うと20、30代の女性の存在は希望そのものであった。

 私たちは新婚生活が始まったと聞けば訪ねて行き、あれこれと世話を焼いたり、子供が生まれるとプレゼントを贈り一緒に祝った。そうした過程で若い女性のネットワークが少しずつ広がりを見せていった。

 そして彼女たちが中心となり、1996年2月、学齢期の子供たちを持つオモニたちの会「ファニー」が、2000年2月には乳幼児を持つ20〜30代初期のオモニたちの会「ナビ」が生まれた。

 昨年からは、「オリニたちが学べる場がほしい」との若いオモニの提案にヒントを得て、恒例化している愛媛同胞女性文化教室にオリニ教室を併設することにした。オンマたちが文化教室で勉強している間に、オリニたちはウリマル、ウリノレを学ぶ一石二鳥を目指した試みだ。

 正直言って大変だったが、責任感の強い講師の指導のもと、オリニたちは予想をはるかに越えた吸収力で多くを学んでいった。

 昨年9月と今年3月に行われたオリニ教室の発表会。民族衣装に身を包んだ子供たちは立派に学習成果を披露した。あまりのかわいさ、健気さに場内は笑いと拍手、涙に包まれた。

 この子たちの笑顔を守るために頑張らなければと決意を新たにした。

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 オリニ教室を1歩前進させようと、今年は若いオモニたちが「2001年オリニフェスタ  in  愛媛」実行委員会を6月に立ち上げ、今月24日の開催に向けパワー全開で準備中である。企画、準備のすべてを 「ファニー」、「ナビ」の会員たちが手作り、手弁当で行っている。日を重ねるごとに参加者が増え、まさに準備段階から参加型のフェスタになっている。

 小さな県の小規模の取り組みにすぎないかも知れないが、私は、彼女たちに愛媛の未来を託したい。ハラボジ、ハルモニが、1円カンパを募り、始めたウリハッキョ。アボジ、オモニが守り抜いたハッキョが21世紀にも民族教育の発信地、人材育成の基地として輝き続けることを願ってやまない。

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