取材ノート
「脇役」に注目する手も
東京・新宿の職安通りには、果たしてここは日本かと見まがうほど朝鮮料理店が多くひしめいている。そのほとんどがニューカマーと言われる南朝鮮から来た人たちの経営する店だ。
その1つに、いつも満員で最低1時間は待たされるお店がある。BSE(狂牛病)騒動以降も全く影響がないようだ。その店のメニューと言えば、チゲ、チヂミ、サムキョプサル(豚のばら肉を使った焼肉)、チャプチェなど、家庭でも味わえるものばかり。朝鮮料理のレパートリーの広さをあらためて認識できた。 BSE問題に対応するため、各地商工会ではセミナー開催やアンケート実施、日本政府や自治体による制度融資のあっ旋などさまざまな対策を講じている。 今回の騒動で最も被害にあったのは、焼肉店をはじめとする肉業者。焼肉は民族産業と言われるほど同胞の店が多いだけに、商工会でも何とか現状を乗り切ってもらうために、あれこれ対策を練っているのだと思う。 新潟県では先日、茨城県下に3店舗を展開する同胞経営者を講師に招いて、情報交換会が開かれた。そこで目を引いたのは、朝鮮料理=イタリア料理という発想。そういえば、パスタ、ピザ、リゾットと、イタリア料理には1品料理でも十分楽しめるメニューが豊富にそろっている。 それと同じく、朝鮮料理にもピビンバ、クッパなどのご飯類、チゲなどのスープ類と、1品料理として十分に出せる料理が少なくない。数種類もあるチヂミやキムチを楽しんでもらうのも手だろう。 昨今は焼肉店のメニューにも、肉以外の料理が並ぶことが少なくない。とは言え、消費者にとっては「主役」の焼肉をひき立たせる「脇役」と言った側面があった。そんな「脇役」たちの「渋い演技」に注目してみるのも、「嵐」を乗り切る1つの方法ではないだろうか。(聖) |