対話再開の兆しか
米国の「実践的措置」の必要性を主張− | 朝鮮メディア | |
米政府高官 | −朝米合意の有効性に言及 |
朝米対話の再開問題が新たな展開の様相を呈している。
先月、米国はテロ報復戦争を決行、朝鮮半島における「有事対応」を口実に南朝鮮の米軍戦力を強化する動きもみせたが、朝鮮はアフガニスタンに対する軍事行動に反対し、朝米対話再開に関する原則的立場を表明してきた。また今月3日には国際的な反テロ条約に正式に署名すると発表した。 最近、朝鮮のメディアは同時多発テロ事件以後の国際情勢の変化について言及しながら、米国が「朝米対話再開のための実践的措置を取るべき」との主張を展開している。 ニューヨークで朝米接触 労働新聞(12日付)は「米国に対話再開の意思があるならば、それに相応しい雰囲気と信頼を醸成」しなけらばならないと指摘、米国がそのための措置を取るならば「対話再開問題は解決するだろう」と強調した。また朝鮮中央通信は論評を発表(12日)、朝鮮の反テロ条約署名に歓迎の意を表明した米国が、依然として朝鮮を「テロ支援国」に指定していると非難し、「テロ支援国」リストからの除外が信頼醸成のための措置になりうるとの立場を間接的に示した。 対話再開問題と関連した朝鮮の1歩踏み込んだ意志表明は、現在ニューヨークで朝米接触が行われているという点を踏まえると注目すべき変化といえる。 ブッシュ政権の朝鮮半島平和会談担当特使に任命されたジャック・プリチャード氏は6日、上院外交委員会の承認聴問会で米国が朝鮮側と対話再開の方法を模索するため2〜3週間前からニューヨークで接触を行っていると証言した。またブッシュ大統領がクリントン政権時代の朝米交渉の成果を認識しており、パウエル国務長官も昨年10月に発表された朝米共同コミュニケが有効であるとの見解を示していると発言した。 ブッシュ政権は発足当時、前政権下で結ばれた一連の朝米合意の再検討を公言した。去る6月にはブッシュ大統領が対話再開に関する提案を行ったが「通常戦力削減」など、これまでの合意に含まれていない問題を持ち出し、対話の議題を一方的に設定した。 朝鮮側は、米国の示したごう慢な対決姿勢に強く反発、ブッシュ政権がクリントン政権末期に示した政策水準に立ち返ってこそ、対話再開は可能との原則的立場を明確に示した。パウエル国務長官など、米国の政府高官は「前提条件なしに対話を再開する準備ができている」との発言を繰り返すことで対話中断の責任を朝鮮側に押し付ける世論操作をねらったが、両国が対等な資格と権利をもって交渉を行うという原則が必ず確認されなければならないという朝鮮の立場は揺るがなかった。 テロ事件以後の情勢 一連の朝米合意の有効性について言及したプリチャード朝鮮半島平和会談担当特使の発言やニューヨークにおける朝米接触再開の事実が、果たして米国の政策方針の変更を意味するものであるのか、注目されるところだ。米国の「実践的措置」を求める朝鮮側の主張は、本格的な対話再開に向けた交渉の進展状況に合わせたシグナルとも読める。 先月、テロに対する報復戦争を決行したブッシュ大統領は、朝鮮が「戦争でなく平和を望む」というメッセージを送ろうとするならば、軍事境界線に配置した通常戦力を後退すればよいと発言した。朝鮮外務省は大統領の身勝手な論理を非難すると同時に対話による対米関係改善の意思に変化はないと強調した。そして反テロ条約に署名することで平和に対する自国の立場をアピールした。このような情況下でニューヨークでは両国の対話再開に向けた接触が行われていたことになる。 今後、朝米関係にはテロ事件以後の国際情勢の流れが大きく作用するとみられる。例えば、朝鮮を米国の「テロ支援国」リストから除外することを求めた朝鮮中央通信は「このような相互信頼が保障されてこそ、朝米間で意味のある対話が行われ関係改善が促進される。両国の関係改善は、テロに反対する国際的協力にも大きく寄与するであろう」と指摘している。(金志永記者) |