世界に通じるレベル
アジア連盟に先月加盟、朝鮮の空手/゙一(在日朝鮮人空手協会副会長)
朝鮮空手道連盟がアジア空手道連盟(AKF)に加盟した。10月31日、加盟が承認されたアジア連盟の第5回総会(マレーシア)に朝鮮空手道連盟の代表として参加しだ一・在日朝鮮人空手協会副会長(47、千葉県在住)が加盟の経緯や朝鮮の空手事情などについて寄稿してくれた。
空手で統一に寄与
世界空手道連盟の傘下団体であるアジア連盟には日本、南朝鮮などアジア34カ国の団体が加盟しており、今回の総会で朝鮮と中国が新たにメンバーとして加わった。 朝鮮では3年前から空手の普及が始まった。現在、国際試合出場に向け選手育成に力を注いでおり、今回の加盟でアジア連盟が主催する国際試合に参加できることになった。 総会には朝鮮空手道連盟のキム・ウィソン書記長、キム・グアンイル氏が参加。同連盟の委任により、在日朝鮮人空手協会からは私と安泰範副理事長が朝鮮代表として参加した。 アジア連盟は、北南朝鮮がそろってメンバーになったことを、「空手を通じて朝鮮の統一に寄与できる」と歓迎している。総会開催期間、われわれは北南朝鮮の代表と交流し「将来、統一チームを実現させよう」などと夢を語り合った。短い期間だったが、空手を通じて統一に寄与できることを実感した。 空手王国、日本には在日同胞の空手家、愛好家も多い。朝鮮が国際団体に加盟したことで、在日同胞が朝鮮の代表として国際舞台で活躍する道が開かれた。今年7月に結成された在日本朝鮮人空手協会は朝高、朝大の空手部を中心に選手の発掘に着手している。このたびの加盟は同胞空手家に夢と可能性を与えるものだ。 人気の力道山ドラマ 数年前、朝鮮で「民族のサナイ(男)」というテレビドラマが大流行した。日本でも国民的な人気を博したプロレスラー・力道山の生き様を描いたものだ。 力道山が朝鮮半島で生まれた在日朝鮮人だということは周知の事実だが、ドラマには力道山の活躍に多大な影響を与えた1人の男が登場する。 在日朝鮮人空手家、姜昌秀(現・空手道拳道会総師、中村日出夫)氏である。のちに力道山に空手チョップを教えたとされる在日朝鮮人の存在が、朝鮮の一般市民にも広く知られるようになったのだ。 お茶の間で力道山、姜昌秀氏が話題になるにつれ、空手にも市民の興味が注がれるようになった。 元来空手は日本が本家本元であるとされるが世界的に流派が多く、統一ルールで国際試合をするのは難しいとされてきた。しかし、空手が世界的に広く普及していることから最近、オリンピックの正式種目にしようという動きがある。 社会的な関心と世界の動きを背景に朝鮮では99年11月、朝鮮空手道連盟が結成され、空手の普及、国家代表選手の育成に向けた本格的な取り組みが始まった。 女子はアジアトップ 朝鮮では以前から★(足偏に台)拳道(テコンド)、柔道などの格闘技が盛んだが、空手選手の身体能力の高さにも目を見張るものがある。選手は主に10、20代。才能ある若者を全国から選抜した。 指導員や資料が不足している中でもランニング、ウエイトトレーニング、空手技術の修練などの練習メニューを組み、地道に選手を育てている。2カ月に1度、全国の選手を集めた合宿も行われている。 日本にいる同胞空手家も祖国で指導に携わったり、関連資料を送るなど、朝鮮での空手普及に寄与している。 現在、男子8名、女子7名の選手が来年のアジア大会に向けて猛特訓中だ。 選手たちの実力は急速に伸びつつあり、とくに女子はアジアでトップレベルだと言われている。選手たちは柔道のケ・スニ、マラソンのチョン・ソンオクに続き、空手でも朝鮮の名を世界にとどろかせようと日々稽古に励んでいる。 朝鮮の空手選手が世界的に活躍する日も遠くないであろう。 |