民族金融機関に対する強制捜査
「弾圧に屈せず団結を」「新信組設立に全力」
近畿在住の同胞組合員ら強い怒り
「負けてはならない」 安君汝さん(大阪市北区在住、80)は警察が14日の早朝、朝銀近畿本店や大阪、和歌山、奈良などの各支店に強制捜査に入ったという知らせを聞き、最寄りの大阪支店まで走って行った。 安さんは、「私たち1世が守ってきた朝銀に警察の手が入るのを見ると本当に胸が痛む。日本当局の強制捜査は絶対に許せない」 「不当な弾圧に負けてはならない。同胞の権利と生活を守るため、今後も朝銀を守っていかねばならない」と力強く語った。 「民族的差別」 現在、近畿地方の同胞は、大阪・和歌山・奈良、兵庫、京都・滋賀の3ブロック別に新しい民族金融機関の設立に向け、準備を進めている。8月には各地方の発起人が近畿財務局に認可の予備審査を申請した。短期間で予備審査申請まで漕ぎつけることができたのは、発起人や準備委員をはじめ多くの同胞商工人が昼夜をいとわぬ努力を傾け、出資金を集めたからだった。 兵庫の同胞による「共和信用組合」(仮称)設立発起人会のメンバーである金承鎬さん(59、姫路市在住)は「今回の強制捜査はあまりにも行き過ぎている。日本の銀行に対する日本当局の対応と比較しても民族的な差別としか考えられない」と憤慨する。 「在日朝鮮人に対する差別がひどい今だからこそ、われわれは原点に戻って民族金融機関の存在について考えるべきだ」と話す金さんは、次のように言葉をつないだ。 「朝銀があったからこそ同胞は商売を始めることができたし、今日の経済的な基盤を築くことができた。朝銀を作った当初の原点に戻り、同胞同士団結し、同胞の企業権、生活権を守っていこう」 「許しがたい」 「弾圧に屈せず団結を」――。この思いは鄭源助さん(61、京都市伏見区在住)にも共通していた。 鄭さんは「今回の強制捜査は新しい民族金融機関の設立を阻む、許しがたい行為だ」と指摘しながら、すべての力を新しい民族金融機関の設立に注ごうと強調する。 京都・滋賀地域の同胞による「京滋信用組合」(仮称)設立発起人会は、12月初旬にも創立総会を開く予定だ。(前号記事中、強制捜査の対象に朝銀近畿京都支店は含まれていませんでした)(李明花記者) 重大な「人権侵害」 朝銀東京女性職員勾留理由の開示請求 通勤途中で逮捕された朴幸江さん(朝銀東京営業部預金係課長)の「勾留理由開示公判における意見陳述」が14日、東京地方裁判所で行われ、家族と親族、友人、居住地域の同胞らが傍聴した。弁護人の萓野一樹弁護士が逮捕および勾留についての釈明を求めた後、只野靖弁護士が意見陳述した。 只野弁護士は、裁判官が説明した勾留理由について「不当である」と抗議しながら、警視庁による接見拒否などは「重大な人権侵害にあたる」とし、同職員の即時釈放を求めた。 |