行きたい
私の心が向かうあの友へ
私のふるさと南の海 あの青い水が目に見える
夢にも忘れようか、あの静かなふるさとの海
今もあの水鳥たちは飛んでいるのだろう 行きたい行きたい
幼いころ一緒に遊んだあの友たちが懐かしい
どこに行っても忘れはしない遊びはねたふるさとの友よ
今はなにをしてるだろうか 会いたい会いたい
(中略)
水が満ちると砂浜に蟹がかけっこをし
水が引くと仰向けにねころがり星をながめて眠った
世の中のことなんてなにもわからなかったあの頃が 懐かしい懐かしい
ここに聞いてもあそこで聞いても
私の楽しみはどこにもなかった
残してきたすみかに 抱かれよう抱かれよう
少女は母になり少年は父になる間
人生の道がわかれこうなった
失った私の喜びの道が 惜しい惜しい
働いても疲れをしらず 眠っても罪のないこの体が
あの海の水音を日夜聞いている
友よきみたちは幸せものだよ うらやましいうらやましい
(中略)
日はのぼり夕日は暮れても
冷たい氷 冷たい風ははいりこまないあの国に
帰って裸で暮らそう 清らかに清らかに
(「東亜日報」1932・1・8収録)
リ・ウンサン
1903年生まれ。号は鷺山。詩集に「鷺山詩調集」など多数(訳・全佳姫)
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