春・夏・秋・冬

 朝鮮の代表的料理であるキムチが国際食品に公認された。世界165カ国が会員になっている国際食品企画委員会がこのほど、スイスで開かれた総会で国際食品企画に確定したという。これでキムチは、世界の「Kimchi」になった

▼一方でFIFA(国際サッカー連盟)は、来年のワールドカップ開催とからめて、朝鮮半島の伝統料理「ポシンタン(補身湯)」に難癖をつけた。ポシンタンとは犬の肉をやわらかくなるまで煮込んだ汁。これが犬の虐待につながるというのだ

▼朝鮮半島では昔からサムボク(三伏=夏の酷暑の期間)にこれを食べる風習がある。日本で「土用の丑」の日にウナギを食べるのと同じで、夏バテ防止に効果があるとされる。ちなみに補身とは、栄養の豊富な食べ物を食べたり強壮剤を飲むなどして体力を増強させることをいう。「欧米人がウサギや羊を食べるのと同じなのに」と、市民らはとまどいを隠さない。食文化は国によって異なる。FIFAの指摘は欧米中心の思考方式から出たものとは言えまいか

▼食文化に限らず、お互いの文化の違いを認め合ってこそ、世界のすべての人々が共存し合っていけるのではないか。混とんとした世の中で物事を平和的に解決するためには、そのことが最も肝心だと思う

▼科学史家の村上陽一郎氏はこう話す。「世界には多様な価値観がある。唯一の理想や大義をぶつけあっていたのでは前に進めない」「…寛容の精神こそを人類共通の目標にしなければならない」。今起きていることは決して「文明の衝突」ではないのだから。(聖)

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