オンマの家計簿Q&A―韓鐘哲(20)

定年後の夫婦の生活費は?

イメージに沿って老後生活資金計算


   最近、夫が定年退職した後の生活について考えています。定年後の夫婦の生活費はどのくらいかかるのでしょうか。事前にわかる方法があれば教えてください。また、老後の生活費に対する準備はいつごろから始めればよいのですか?

   今回は、老後生活に必要な生活費と老後の収入、老後の生活に向けた貯蓄をいつから始めたらよいのかなどを説明します。

 前回も説明しましたが、まず、老後生活についての具体的なイメージを持ってください。自分がどんな老後生活を送りたいのか。どんな暮らし方をしたいのか。それによって老後生活に必要な資金は変わってくるからです。

 具体的にイメージできたら、イメージした老後生活を過ごすために必要な老後生活資金を計算します。老後生活資金の必要額については、金融広報中央委員会が発表している「老後に最低限必要な1カ月の生活費、ゆとりある1カ月の生活費」(別表)を参考に算出します。今回、別記の条件で単純に必要額を算出してみたところ、老後に最低限必要な生活費は約6000万円となりました。ただし、算出したこの金額はあくまで目安です。老後の暮らし方によって必要金額は増減します。そして1番大事なことですが、この算出した金額が60歳定年時に全額必要ではないということです。

 老後の生活を過ごすのに必要な大まかな金額がわかったところで、つぎに老後の収入額を算出します。老後の収入として考えられるものは、@退職金、A公的年金、B定年後も就職した場合の給与収入、C妻のパートなどの収入、D子供たちからの援助、E不動産、金融資産の運用収入などがあります。

 以上のような方法で算出した必要な老後生活資金と老後の収入額に差額があれば、それが老後生活を過ごすために必要な貯蓄額となります。差額が出ない場合は、現状のまま推移するならば、特に準備をしなくても老後生活を過ごすことは可能だということを意味します。

 それでは、このように算出した老後生活に必要な貯蓄額(老後生活資金)の準備はいつから始めればよいのか。老後生活資金の準備を始める時期は、早ければ早いほどよいのは間違いありません。しかし、実際には子供の教育資金、取得した住宅のローン返済等の負担と長期ライフプランの変更も予想されます。このような諸条件を考慮しても、教育資金の負担のピークを過ぎたころ、遅くても教育資金の負担が終るころには老後生活資金の準備を始めるのが良いでしょう。ただ、最近は在日同胞の社会でも晩婚化が進み、一般的なサラリーマンの定年年齢である60歳を迎えたとき、まだ子供が成人していないということもあります。このような場合は、その家族のライフプランを見て、ケースバイケースで準備をはじめる時期を判断することになります。(ハン・ジョンチョル  ファイナンシャルプランナー、社会保険労務士)

  ◎「老後に最低限必要な1カ月の生活費、ゆとりある1カ月の生活費」(単位は千円)※金融広報中央委員会「暮らしと金融なんでもデータ(平成13年)」より

  最低限必要な生活費 ゆとりある生活費
夫婦世帯 245 380
単身世帯 150 250

  ◎老後に最低限必要な生活費の算出
 算出のための前提条件は、ご夫婦の年齢は同じ年齢で、夫が60歳で定年退職した後、それぞれが平均寿命となっている年齢(夫は77歳、妻は84歳)で他界することとする。以上の条件から夫が退職した後、ご夫婦で生活する期間は17年間、夫が他界した後、妻が1人で生活する期間は7年間となり、上記の表を参考に老後に最低限必要な生活費を算出すると次のようになる。
 (245千円×17年)+(150千円×7年)=62,583,000円

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