春・夏・秋・冬

 「焼肉を食べに行こうと誘うと、みんな二の足を踏むのよね」「口に出せない雰囲気があるわよ」。といいつつも、ロース、カルビと次から次へと口に運ぶ女性客。20人は入れる店だが、客は彼女たちと筆者のグループだけだった

▼BSE(狂牛病)騒動以降、牛肉を扱う同胞業者たちに与えている深刻な影響については本紙でもたびたび取り上げてきたが、実際、足を運んでみると想像を越えるひどさだった

▼店の主人いわく、「それでもうちの場合、持ち店。従来からのスープなど家庭料理のファンや、他店と比べて安価ということもあって南からのニューカマーのお客さんが足を運んでくれるので持ちこたえているが、店舗を借りている所などは…、本当に大変だと思う」

▼そこに2頭目の感染確認報道。客足が少しずつではあるが、戻り始めているという声が聞こえ始めた矢先の出来事だけに、年の瀬を控えてその打撃は計り知れない。それにしても、この騒動が起きてから腑に落ちないのが行政の対応である

▼「お答えを控えさせてもらいたい」「コメントすることは控えさせて頂きたい」――。感染源、国の対応についての記者の質問に対する農水省次官の、なんという血の通わない答弁だろうか。怒りが込み上げてきてしまう

▼民族差別と敵視政策の中で、それでも同胞たちが知恵を絞り力を合わせて築き上げてきた焼肉産業。同胞を標的にしているのではないかと勘ぐりたくなる仕打ちだが、こういう時こそ手を取り合っていくことは、1世たちが残してくれた貴重な教訓である。(彦)

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