春・夏・秋・冬

 今年の12月8日は例年になく静かだった。この日は日本の真珠湾攻撃を機に太平洋戦争が勃発した日。いつもなら、この日にちなんで反戦集会などが各地で開かれ、各紙では戦争にちなんだ特集が組まれる。だが、記者が見落としたのか、今年は例年ほど盛り上がっていないようだ

▼テロ事件後、ビンラディン掃討のための「報復戦争」が続く中、戦争反対の声を唱えるのはことのほか勇気のいる感は否めない。テロ直後から最近までワシントンを中心に現地で取材したある友人記者は、米国では反戦を声高に叫ぶ雰囲気にはないと話す。日本の空気もそれに便乗しているということか

▼そういう空気を反映してか否か、太平洋戦争について知らない世代が出ているという。某新聞社が都内で10〜20代の若者を対象に聞いたところ、12月8日が何の日かを知っているのは3分の1にも満たなかったそうだ

▼日本の歴史すらきちんと知らない若者たちにとって、在日朝鮮人がなぜ日本に住むようになったのかなど知らなくても不思議ではない。実際、地方自治体の若い議員の中にも、日本の植民地時代に連れてこられた人々の子孫であるということを知らない人が多いらしい

▼9日の日曜日にテレビ朝日系で放映されたサンデープロジェクト内で、朝銀問題とからめた極めて悪質な特集が組まれた。在日について何も知らない日本の普通の人たちが、あれを見て一体どう思うのか。その後にどんなリアクションが待っているのかと思うと空恐ろしい。これは、メディアを使った暴力以外の何ものでもない。(聖)

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